【内田雅也の追球】空振りの少ない打線

[ 2025年3月22日 08:00 ]

オープン戦   阪神1―1オリックス ( 2025年3月21日    京セラD )

<オ・神>初回、佐藤輝は四球を選ぶ(投手・宮城)(撮影・平嶋 理子)
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 パ・リーグを代表する左腕、宮城大弥に4回無得点に終わった阪神打線だが、今春の特徴はよく出ていた。

 一つは高いコンタクト率である。特徴的だったのは宮城に対し、空振りがほとんどなかったことだ。1回表、佐藤輝明の外角スライダー、2回表、坂本誠志郎の外角直球、4回表、栄枝裕貴の外角直球ハーフスイングとわずか3球だった。

 宮城は昨季、計2110球を投げ、奪った空振りは227球。空振り奪取率は10・8%だった。

 この夜は66球投げているので、通常なら7~8球は空振りが奪えている計算になる。それがわずか3球だけだったのだ。

 バットに当てるコンタクトのうまさである。もちろん、単に当てるだけではない。スイングスピードを速めれば、投球をできるだけ引きつけ、強く振る。それは同時に、悪球に手を出さない選球眼の良さにもつながる。

 たとえば、3番に入る佐藤輝である。1回表2死の打席では先に書いた空振りの後、外角低めの直球、スライダーを見極めて四球を選んでいる。

 3回表は見逃し三振。投手が本田圭佑に代わった5回表もまた四球を選んだ。結局第3打席までの16球でバットを振ったのは1度だけだった。

 昨季のゾーン内スイング率(Z―Swing%)は76・4%でリーグトップ。ストライクは4球に3球は打ちに出ていた。ボールゾーンスイング率(O―Swing%)も36・0%でリーグ4番目だった。そんな「打ちたがり」が辛抱していたわけである

 7回表1死一、二塁の好機では空振り三振に倒れたが、この打席も初球の内角高め速球に手を出さず見極めていた。

 佐藤輝を例に出したが、こうした辛抱や粘り強さからくる「好球必打」こそ、今春の阪神打線の特徴である。7回表同点の起点も、木浪聖也がフルカウントからよく選んだ四球だった。

 オープン戦序盤はチーム打率が3割を超えていた。今も12球団トップの2割8分4厘をマークする。好調打線の一端が垣間見えた気がしている。

 もちろん本番まで不安は尽きない。未明に上った下弦の月に希望を見たい。「下弦の月が あんなに輝くように いつか眩(まばゆ)いあなたに気づくといいね」とSuperflyが『Gifts』で歌っている。本当に大いなる可能性を秘めている。 =敬称略=
 (編集委員)

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