【密着!東洋大姫路】名将の指導&恵まれた環境で心身強化 初の選抜V狙う新生「TOYO」

[ 2025年2月28日 09:00 ]

今春選抜に出場する東洋大姫路ナイン
Photo By スポニチ

 訪れたのは、日本列島に寒波が到来中の2月某日だった。兵庫県姫路市内にある東洋大姫路グラウンド。午後4時前になると、自転車に乗った野球部員たちが、続々と集まってきた。1987年に完成した専用グラウンドは、ラッキーゾーン撤去前の甲子園球場と同じサイズ、同じ方角でつくられていることで知られる。内野はもちろん、黒土。05年頃までは、外野に天然芝も敷かれていたという。まさに、「甲子園で勝つ」ために用意された“虎の穴”だ。

今春選抜に出場する近畿王者・東洋大姫路、冬練習の動画はこちら

 すでに学校で練習着への着替えを済ませている選手たちは、グラウンドに到着するや、キビキビと練習開始に向けた準備を始める。昨秋の兵庫大会で17年ぶり6度目の頂点に立ち、近畿大会でも17年ぶり4度目の優勝を飾り、明治神宮大会で4強に入って、今春選抜出場を決めた東洋大姫路。昭和の時代、田中治監督、梅谷馨監督ら闘将に率いられ、血のにじむような猛練習で全国に名をはせた「TOYO」の日常は、存外、静かに始まった。

 この日は全体アップを省略。選手たちは学校からグラウンドまで約4キロの道のりを自転車で移動しており、それをアップ代わりとした。グラウンドに入ると即座にペッパーを開始し、そのままキャッチボールへ。そこからボール回し、内外野ノックへ移行し、投手陣も参加したケースノックを終えると、プロでも使用される折りたたみ式打撃ケージ5台が準備された。ケージ自体は計6台所有しているという。この日はフリー打撃と並行してウエートトレーニング、月1回のスイングスピード計測も実施。時間のロスが最小限に抑えられ、きわめて効率良く練習メニューは消化されていった。

 恵まれた環境の下、汗を流す。専用グラウンド三塁側後方には、総工費約1億4000万円をかけて22年5月末に完成した室内練習場がそびえ立つ。器具がそろったウエートトレーニングルームも完備する。室内練習場の6レーンを含めると、屋内外で最大12人同時に打撃練習を行うことが可能というから驚きだ。渡辺拓雲主将(2年)は「環境というのはすごく大事と思っていて、ウエートルームであったりとか、雨天練習場であったりというのは雨の日でもできるので、環境というのはすごく大事と思います」と胸を張る。その環境をフル活用するため、グラウンド内の移動は常に駆け足。限られた時間内で、最大限の強化に努める。

 19年夏の甲子園を制した“名将の教え”もチーム内に浸透中だ。「強く言うことはありますけど、答えを言わないというか…指導に対しての答えを出さないというのが、岡田先生の指導で一番よくあります。(自分で)深く考えることもできれば、ワンプレー、ワンプレー、何がダメだったのかというのを、自分だけでなく、チームの選手ともコミュニケーションを取って聞けたりするので、そういう点ではすごくいい指導方法と思います」と渡辺主将。“やらされて動く”のではなく、“自分たちで考えて動く”土壌の醸成が、選手個々の内面に根を張る。恵まれた環境に加え、履正社(大阪)前監督で、OB岡田龍生監督の熱心な指導により、心身両面のチーム強化が進む。

 勇将の下に弱卒なし――。岡田監督を慕って東洋大姫路への進学を決め、2年秋時点で入学時から最速18キロアップの成長を遂げた最速147キロ右腕・阪下漣(2年)は「結果にもこだわりますけど、まずは楽しんで。甲子園という大きな舞台を盛大に楽しんでいきたいと思います」と頼もしく選抜を見据える。旧チームから主力を担う渡辺主将は「(目標は)選抜優勝です。自分は1番打者なんですけど、1番はチームの流れを呼ぶ打順と思っているので、しっかり出塁してチームの勝利に貢献できるように頑張りたい」と日本一に狙いを定める。チームの屋台骨はいずれも、22年4月に就任した岡田監督から声を掛けられて入学した“岡田チルドレン”1期生だ。

 いつの間にやら夜の帳も下りていた。さぞ長いのだろう…と予想していた全体練習は、およそ3時間でスパッと切り上げられた。後片付けも全員で「10分でやるぞ」などと声を掛け合い、テキパキと進められた。そのメリハリが利いた時間の使い方からも、強さの一端が垣間見えた。令和の時代に対応した指導と環境で鍛え抜かれた新生「TOYO」。まだ見ぬ、春の頂点を望む。(惟任 貴信)

 ▽東洋大姫路 1963年(昭38)4月に東洋大の付属校として創立され、開校時に硬式野球部を創部。甲子園には69年夏に初出場し、直近の22年春まで春夏通算20度出場。77年夏には初優勝を飾った。主な卒業生に弓岡敬二郎(元阪急)、長谷川滋利(元オリックス、マリナーズなど)、松葉貴大(中日)、原樹理(ヤクルト)、甲斐野央(西武)らがいる。

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

野球の2025年2月28日のニュース