スタンフォード大進学の花巻東・佐々木麟太郎と卒業式で交わした“約束”

[ 2024年3月2日 08:00 ]

卒業式で名前を呼ばれあいさつをする花巻東・佐々木麟太郎(撮影・村井 樹)
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 歴代最多とされる高校通算140本塁打を放ち、米国の名門・スタンフォード大への進学が決まっている花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(3年)が1日、卒業式を迎えた。この一年、ほとんどの公式戦を見届けるなど、何度も取材させてもらった選手の一人でもあり、感慨深い思いで卒業式を見守った。

 初めての取材は昨年5月3日。春の県大会前の地区大会にも関わらず、多くの報道陣が訪れた。「今、最も注目されている高校球児はどんな選手なのか」。さまざまなことを考えながら現場に向かったが、一つ一つの質問に丁寧に答える姿が印象的ですぐにファンになってしまった。

 高校3年間で描いたアーチの数は140。昨年末、特に印象に残っている本塁打を聞いてみると、答えは記者も度肝を抜かれた衝撃の4発だった。昨年6月の愛知遠征。東邦や愛工大名電など、甲子園常連校相手に4試合を戦うと、場外弾3発を含む計4本塁打をマーク。「愛知のは自分としてはインパクトの感触とかも良かったです。あれはどれも完璧でしたね」と堂々と胸を張りながら、当時を振り返ってくれた。

 夏の甲子園大会までは鋭い視線を向けながら意気込みを語る姿が印象的だったが、引退後は穏やかな表情で語ることが多くなった。卒業式後の取材でも終始、笑みを浮かべながら3年間を振り返っており、18歳の本当の姿を見ることができた気がした。

 この日も全ての取材が終わりいつものように、「ありがとうございました」と声をかけると、佐々木から思わぬ質問が飛んできた。「これからも担当変わらないですよね」。とっさに「うん、変わらないよ」と答えてしまったが、すぐに「良かったです。今後もお願いします」と言われ、一人の記者として認識されていたことが少しうれしかった。

 年齢は一回りほど違うが、相手は世界が注目するスラッガー。その活躍に恥じない記事を書き続けられるよう、さらに精進していきたいと心に誓った。(記者コラム・村井 樹)

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