【ROOKIES 猛虎ファイル】ドラ3山田(3) 日本一の翌年「何度も辞めたくなった」仙台育英主将

[ 2023年12月23日 05:15 ]

バットを手にポーズを決める阪神ドラフト3位・山田
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 阪神のドラフト3位・山田脩也内野手(18=仙台育英)は野球一筋で育った根っからの野球少年だ。白球を追っていた兄・利輝(としき)さんの背中を幼少期から追い続けた。走攻守三拍子そろった期待の内野手。高校時代は甲子園に14試合出場、2年夏は優勝、3年の今夏は主将として準優勝へとけん引した。その“甲子園の申し子”の素顔に迫った。(石崎 祥平)

 【高校時代】脩也は、小学6年時には、既に仙台育英への入学を志していた。利輝さんは仙台育英の一員として17年春と夏に甲子園出場。夏に聖地で本塁打を放った兄の勇姿を観客席から見届けた。「お兄ちゃんみたいになりたい!同じユニホームを着て野球がしたい」。中学時代に仙台育英からスカウトを受けていたこともあり、相思相愛での入学だった。

 自信のあった守備力を武器に何とか1年春からベンチ入りを果たした。2年夏となった22年に正遊撃手として初めて甲子園に出場すると、利輝さんの最高成績だったベスト8を超えて日本一を成し遂げた。しかし、充実した高校生活の中でも挫折はあった。

 3年には主将にも就任した。しかし目に見えない重圧に襲われた。「何度もキャプテンを辞めたくなった」。日本一のチームを引き継ぎ、主将としての責任を感じていた。やることなすこと全てが空回りした。宮城県秋季大会決勝で1―2で東北に惜敗。同大会の連覇は10で途切れた。

 「うまくいくことがほとんどなかった。自分に負けてしまったところがあった」

 ついに須江航監督(40)に悩みを打ち明けた。「キャプテンを辞めたいです」。その申し出を受けた指揮官は即座に却下。実績と野球に対する真摯(しんし)な姿を評価していたからこそ「このチームは、おまえがキャプテンをやんないといけない!」と説得した。愛情ある言葉で背中を押され、再び立ち上がる決意を固めた。引っ込み思案の性格で、背中でチームを引っ張るタイプだったが、積極的にチームメートにも意見をぶつけ、結果として反映した。

 3年の今春選抜はベスト8で敗退したが、今夏は準優勝の成績を収めた。「得たものは、野球だけで学べないことがいろいろあった」と悔いはない。

 2年夏から3季連続で甲子園に出場し、14試合を戦った。幼少期からタテジマのユニホームには縁があった“甲子園の申し子”が、次は本拠地となる聖地で大暴れしてみせる。

 ※ドラ3山田の稿は終わり

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