大谷愛あふれすぎて “本命”ドジャースかん口令破っちゃった ロバーツ監督「翔平と会った」

[ 2023年12月7日 02:30 ]

大谷とドジャーススタジアムで面談したことを明かすドジャースのロバーツ監督(撮影・笹田 幸嗣通信員)
Photo By スポニチ

 エンゼルスからFAの大谷翔平投手(29)が、数日前に移籍先の最有力候補であるドジャースとロサンゼルスの本拠地ドジャースタジアムで面談したことが5日(日本時間6日)、分かった。ウインターミーティング2日目の会見でド軍のデーブ・ロバーツ監督(51)が明かした。大谷サイドから強いかん口令が敷かれる状況で、あえて情報を公開。契約総額6億ドル(約882億円)とも言われる大争奪戦は最終局面を迎えている。

 ウインターミーティングの会見場。ロバーツ監督が、意を決して発言した。今オフのチームの補強ポイントについて問われた時だ。

 「(大谷)翔平をどうするか、ということだ。明らかに我々の最優先事項」

 交渉球団はFA選手の交渉経過は明かさないことが慣例。さらに今回は移籍市場の超目玉でもある大谷サイドから強い「かん口令」が敷かれている状況だ。ロバーツ監督は「翔平と会って話をした。うまく事を運べたと思う」と続けた。これまであえて「大谷翔平」という具体名を避けて質問していた報道陣は、一時騒然となった。

 単なるリップサービスではない。発言には決意がにじむ。今回の会議で交渉過程を球団首脳や現場トップが公表するのは初めて。ロバーツ監督は交渉は数日前にドジャースタジアムで2、3時間ほどだったことも明かし「彼は質問を持ってきて、より深く知ろうとしていた」とも語った。

 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」によれば大谷の代理人のネズ・バレロ氏は「交渉経過を公表すれば罰則を与える」と各球団に通達していたという。なぜ禁を破ったのか。指揮官は「うそをつきたくない。駆け引きではなく誠実さ。翔平にも失礼だと思わない」と説明した。花巻東1年時から獲得に向けて動いてきた球団を代表しての“大谷愛”の公表だったが、約1時間後、ド軍のブランドン・ゴームズGMは「(発言に)驚いている。コメントできない。ルールに違反しているかどうかも言いたくない」と表情を曇らせた。ド軍担当のある記者は「球団上層部との事前の擦り合わせを怠ったようだ」と語った。

 ベールに包まれていた大谷の交渉が明らかになりつつある。2日にジャイアンツとサンフランシスコで面談し、4日は花巻東の先輩・菊池が所属するブルージェイズとフロリダ州のキャンプ施設で会談したことを米メディアが報じた。来季所属先候補は3球団以外にエンゼルス、ブレーブス、カブスが挙がる。

 同じド軍担当記者は「今回の情報漏えいが大谷の決断に影響するとは思わない」と語るが、どんな結末が待っているのか…。最終局面に入っても、予断を許さない状況は続く。(笹田 幸嗣通信員)

 ≪ロバーツ監督は自分で話すことを決められる名将≫トミー・ラソーダ、ルー・ピネラ、トニー・ラルーサ…。かつて私が取材した名将は絶対的な存在で、メディアに話すこと、話さないことは自分で決めた。

 デーブ・ロバーツ監督は沖縄生まれで母は日本人。日本語は話せないが、現役時代の02年にド軍で同僚だった石井一久のために母が作った焼きそばをクラブハウスに持参したこともある。16年からド軍の指揮官。だが当初は「中間管理職」だった。アンドルー・フリードマン編成本部長のプラン通りに選手を管理することが仕事。メジャー1年目だった16年の前田(現タイガース)は早期降板が目立ったが、同年の投手交代606回はメジャー記録。監督室で同編成本部長が同監督を叱りつけたこともあった。あれから7年。5度のシーズン100勝を達成し、20年には世界一。名将になった。

 仮に16年のロバーツ監督であれば「話せない」と口を閉ざしただろう。今はかん口令など気にせず、自分の言葉で、自分の判断で大谷との交渉経過を語った。今回の件が原因で大谷がド軍を選択肢から外すとは思えない。(奥田 秀樹通信員)

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年12月7日のニュース