阪神連覇へ、ミエちゃん以上の逸材発掘や 来年1月、ドミニカ共和国で大規模トライアウト実施へ

[ 2023年12月7日 05:15 ]

東京五輪にドミニカ共和国代表として出場したミエセス
Photo By ゲッティ イメージズ

 ビッグプロジェクトが実現する。阪神が来年1月、ドミニカ共和国で初めてトライアウト(入団テスト)を実施することが6日、分かった。球団では15年に同国で少人数を対象にした入団テストを実施したことはあるものの、海外で球団独自の大規模なトライアウトを開催することは事実上初めて。狙いは将来有望な原石の発掘だ。来季、初の連覇を目指す猛虎が、常勝軍団形成へ向けて助っ人の育成にも力を注ぐ。

 チーム強化への手は緩めない。38年ぶりに日本一を成し遂げた今季は主にノイジー以外は生え抜き選手が先発メンバーに名を連ねた。投打ともにも“自前”の主力選手たちがチームを歓喜へとけん引。初の連覇、そして常勝チームの形成を目指す球団は水面下で、あるプロジェクトの実現へ向けた最終準備を進めていた。

 「以前から(海外での)トライアウトを検討していたという話は聞いたことがあります。コロナ禍ということもあって(これまでは)できなかったようですが、(現在は実現へ向けて)進んでいるようです」

 ある球界関係者は、阪神が海外で大規模なトライアウトを開催する予定であることを明かした。場所はドミニカ共和国で、将来性ある若手外国人選手の発掘が狙いだ。現在、球団OBのジェフ・ウィリアムス氏、ジェリー・サンズ氏が駐米スカウトとして活躍。しかし主な拠点は米国のため、大リーグとその傘下以外で、埋もれた人材を見いだすため、トライアウトを実施する方針を固めた。米国時間4日(日本時間5日)には、大リーグの球団幹部や代理人らが一堂に会して移籍交渉などが進むウインターミーティングが開幕。関係者の話を総合すると、トライアウト参加者の募集にも動き始めているもようだ。

 既に今オフは新外国人右腕のゲラを獲得し、ノイジー、ミエセス、ビーズリーの残留が決まった。来季1軍戦力として期待する助っ人陣は4人態勢で開幕を迎える予定。しかし、育成となれば話は別だ。来年1月のトライアウトには球団幹部も現地に派遣。将来の戦力になると判断すれば、育成契約も視野に獲得する方針だ。

 球団は15年に同国で少人数の新外国人の入団テストを実施した事例はあるものの、数多くの選手を集めた大規模なトライアウトは事実上初めての試みとなる。今季加入したミエセスをはじめ、ドミニカ共和国出身の選手は日本の各球団にも多く在籍。将来有望な金の卵の宝庫ともいえる。

 補強は最小限にとどめ、育成は最大限に力を注ぐ構え。25年2月にはファーム施設が、兵庫県の尼崎市小田南公園内に新設された「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」に移転する。発掘した原石を磨く場も着々と整い、球団を挙げたビッグプロジェクトで常勝チームへの青写真を描く。

 ▽ドミニカ共和国の野球事情 大リーグでは、米国出身選手の次に多いのがドミニカ共和国出身の選手。今季の開幕メンバー945人中、同国出身者が104人を占め、これに次ぐベネズエラの62人に大差をつけている。打者ではA・プホルス(元エンゼルス)、投手ではP・マルティネス(元レッドソックス)らを輩出。13年のWBCではR・カノ(元ブレーブス)らを擁して優勝した。NPB選手ではガルベス(元巨人)、ソリアーノ(元広島、ヤンキースなど)、サンタナ(ヤクルト)らがいる。現地では多くの大リーグ球団がアカデミーを設置し、10代から選手を育成。毎冬にはウインターリーグが開催される。

 広島は90年、ドミニカ共和国に「カープアカデミー」を開設。95年に15勝を挙げたチェコ、ヤンキースなどでメジャー通算412本塁打を放ったソリアーノら多数の好選手を輩出した。18年には左腕のフランスアが19ホールド、バティスタが25本塁打を放ち、リーグ3連覇に尽力した。現役では165キロ右腕のコルニエルも同アカデミー出身だ。

 森繁和氏(現本紙評論家)は中日投手コーチ時代の04年オフからドミニカ共和国へ渡航。現地のウインターリーグを視察して選手を発掘する独自の獲得ルートを築いた。09年に獲得したブランコは39本塁打、110打点で2冠王、11年にはネルソンが先発で10勝を挙げてリーグVに貢献している。

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