阿部「バッテリーつなぐコードになる!」 来季一塁転向で“阿部節”

[ 2014年12月9日 05:30 ]

最優秀バッテリー賞表彰式で協賛社のイエローハットをかぶり、風呂おけを手にする(左から)巨人・阿部、オリックス・金子、伊藤

 スポーツニッポン新聞社が制定する「2014プロ野球最優秀バッテリー賞」(協力・一般社団法人電池工業会)の表彰式が8日、東京都文京区の東京ドームホテルで行われた。セ・リーグは巨人・菅野智之投手(25)―阿部慎之助捕手(35)、パ・リーグはオリックス・金子千尋投手(31)―伊藤光捕手(25)が受賞。スポーツニッポン新聞社の森戸幸生代表取締役社長から各選手に賞金100万円などが贈られた。来季は捕手から一塁手へ転向する阿部は、経験を基に投手や捕手にアドバイスし、巨人バッテリーの連続受賞をサポートすることを誓った。

 阿部にとっては「最後」となるバッテリー賞。来季、一塁手へ転向する35歳は「(ポジションが変わっても)見て感じることは伝えることができるし、提案とか相談はできるからやっていきたい」と次世代の巨人バッテリーを支えることを宣言。そして「阿部節」を全開させた。

 「来年はバッテリーをつなぐコードになる!」

 その吹っ切れた笑顔に、捕手への未練はみじんも感じられなかった。今季も一塁を守った際は、何度もマウンドに歩み寄り投手を鼓舞。新人の小林には声を掛けて緊張をほぐし、アドバイスを送った。来季も声掛けや配球面の助言などサポートは惜しまない。「一塁はまた見え方が違いますし、少しでもバッテリーの力になれれば。配球面も見てあげたい」と誓った。

 初受賞は2年目の02年。07年から3年連続で選ばれるなど、今回で捕手では伊東勤(現ロッテ監督)、古田敦也(元ヤクルト)と並ぶ最多6度目の受賞となった。成長への励みとなった同賞への思いを問われ「協力があってこそのバッテリー。自分一人では獲れないので、自分の中で特別な思いがあります」と感謝の気持ちを込めて言った。

 式では惜しむ声も上がった。選考委員の有藤通世氏(スポニチ本紙評論家)は「歴代の捕手の中で野村(克也)さんが最高の捕手。それを破れるのは阿部君しかいないと思っていた」と持ち上げ、「一塁手で王(貞治)さんに勝てるか?もう一回捕手として帰ってきてほしい」と「捕手・阿部」の復活を熱望。これに対して阿部は「王さんの記録は絶対に抜けないと思うけど、打者として良い存在感を出せればいい」と言い切った。

 米アリゾナ州で自主トレ中のため欠席した菅野について問われると「度胸満点だね。僕を一人でここに来させて」とちゃめっ気たっぷりに会場の笑いを誘い、「これから巨人を背負っていく投手だと思うし、期待している選手と獲れて良かった。今後の(菅野の)野球人生にも大きく影響するんじゃないかな」としみじみと語った。

 来季は「一塁・阿部」として新たなスタートを切る。「巨人に入ったときの気持ちを思い出してできれば。心機一転、野球人生を始めるつもりで日本一を目指して頑張りたい」。初心に戻り、再び輝きを取り戻す。表彰式を終えた阿部は、足早に練習へ向かった。

 ▽最優秀バッテリー賞 投手だけではなく、縁の下の力持ちともいえる捕手にもスポットを当てて球界最高の「バッテリー」を表彰する。投手は先発、救援で1年間を通じて活躍したことを最低条件とし、先発は10勝、リリーフは30セーブが目安。捕手はリード面や盗塁阻止率などを基準に選考される。今年で24回目。91年の第1回はセ・リーグが西村―古田(ヤクルト)、パ・リーグが工藤―伊東(西武)が受賞。

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