上腕二頭筋とは。どのトレーニングで鍛えると効果的?鍛え方の極意

[ 2024年4月30日 09:00 ]

グッと力を入れたときに盛り上がる、腕の力こぶ。体を鍛えているアピールにもなるこの部位は、「上腕二頭筋」という名前の筋肉です。

今回は、かっこいい二の腕を作るための上腕二頭筋のエクササイズや、効果を引き出すトレーニングのポイントを解説していきます。

上腕二頭筋とは。どこの筋肉?

上腕二頭筋は、腕の前側に付着している筋肉です。

上腕二頭筋は2つの頭(付着部)を持っています。この2つは“長頭”と“短頭”に分かれていて、それぞれ筋肉の走行が異なります。

上腕二頭筋

上腕二頭筋の働き

上腕二頭筋は、どのような動きで力を発揮するか確認してみましょう。

  • 長頭(ちょうとう)

上腕二頭筋の外側に付着しているのが長頭です。肩甲骨~橈骨にかけて走行していて、肘関節を曲げる、肘関節を外側に捻る働きを持っています。

長頭は主に肘関節を曲げる際に力を多く発揮します。

  • 短頭(たんとう)

上腕二頭筋の内側に付着しているのが短頭です。肩甲骨~橈骨にかけて走行していて、主に肘関節を外側に捻る際に力を多く発揮します。

上腕二頭筋と上腕三頭筋はどう違うの?

名前が似ている筋肉に、上腕三筋筋があります。上腕三頭筋は、腕の裏側についている筋肉です。

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上腕二頭筋を鍛えるメリット。上腕二頭筋を鍛えるとどんな効果があるの?

上腕二頭筋を鍛えることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

鍛えているのが分かりやすい部位! メリハリのある腕になる

上腕二頭筋は表側にあるので、ぱっと見て体を鍛えているかどうかがわかるくらい、見た目に影響する部位でもあります。

上腕二頭筋を鍛えることで、力こぶを大きくしたり、引き締まった部分と太い部分のメリハリを作ることができ、たくましい腕を作ることができます。

女性の場合は、筋肉が肥大しにくいので、上腕二頭筋を鍛えることで腕が太くなるというよりは、筋肉の筋ができ、引き締まった腕を作ることができます。

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 「持つ」動作のパフォーマンス向上

上腕二頭筋は、日常的に使われています。とくに物を持ち上げるとき、重い物を運ぶとき、重いものを引っ張る動作など、力仕事では上腕二頭筋の筋力が必要です。

上腕二頭筋を鍛えることで、日常生活も楽になります。重い荷物を持って移動する、子どもを抱っこするのが楽になるなど、さまざまなメリットがあるでしょう。

上腕二頭筋が衰えるとどうなる? 鍛えないとこんなデメリットが

上腕二頭筋が衰えると、重いものが持てなくなるなど、日常生活での体力不足を実感することでしょう。

とはいえ、上腕二頭筋は日常的によく使う筋肉のため、よほどのことがない限り、筋力が大きく衰えるといった心配はないでしょう。

上腕二頭筋のエクササイズ3選

ここでは、オーソドックスな上腕二頭筋のエクササイズを紹介していきます。

ダンベルアームカール

1.両手にそれぞれダンベルを持ちます

ポイント:ダンベルのグリップの中心を持つようにしましょう

2.手のひらが正面になるようにして、腕を下におろします

3.背筋をまっすぐ伸ばし、肘を腰より少し前に出し固定したまま、片手ずつダンベルを持ち上げていきます

4.肘を曲げきったら、ゆっくりと元の位置に戻していきます

ポイント:元の位置に戻したら、今度は同様に反対側を行います

5.この動作を左右交互に繰り返します

動作中、肘をしっかり固定して動作を行いましょう。

手首を巻き込まず、まっすぐにしたまま動作を行うと前腕への負担が少なく、しっかり上腕二頭筋を追い込むことができます。

インクラインダンベルカール

1.インクラインベンチを45~60°くらいにして座り、両手にそれぞれダンベルを持ちます

2.背中をしっかり背もたれにつけ、腕はだらんと下ろします

ポイント:ダンベルを持った両手は、手のひらが正面を向くようにします

3.肘を前後に動かさないようにして、肘を曲げていきます

ポイント:このとき、背中は背もたれから離れないようにしましょう

4.しっかりと肘を曲げきったら、ゆっくりと元の位置に戻していきます

5.この動作を繰り返します

インクラインベンチを使って体を後ろに倒すことで、上腕二頭筋にストレッチがかかり、関節可動域をフルに使って動作を行うことができます。

強度が高まるので、立った姿勢よりも使用重量設定を下げて行いましょう。

ハンマーカール

1.手のひらを内側に向けて、両手にそれぞれダンベルを持ちます

2.背筋を伸ばしたまま、肘を体よりやや前に出し、ダンベルを持ち上げていきます

ポイント:親指が常に上を向いているように動作を行います

3.肘を曲げきったら、ゆっくりと元の位置に戻します

4.この動作を繰り返します

ダンベルカール同様、肘をしっかり固定したまま行いましょう。グリップの中心より上側を持つと、動作が行いやすくなります。

スクリューカール

1.両手にそれぞれダンベルを持ちます

ポイント:ダンベルのグリップの中心を持つようにしましょう。

2.手のひらが体を向くように、腕を下におろします

3.ダンベルを捻りながら持ち上げていきます

ポイント:小指が親指よりも高くなるように捻っていくイメージで持ち上げます

4.しっかりと肘を曲げきったら、捻りながら肘を伸ばしていき元の位置に戻します

5. この動作を左右交互に繰り返します

捻る動作を入れて、上腕二頭筋短頭を鍛えるエクササイズです。インクラインダンベルカールでも同様に捻りを加えることで、短頭を刺激することができます。

上腕二頭筋を効果的に刺激するなら「長頭」と「短頭」は分けて鍛える

ここでは、上腕二頭筋を効果的に鍛えるためのポイントを紹介します。

長頭と短頭をわけて鍛える

上腕二頭筋を効果的に鍛えるなら、長頭に刺激を入れるエクササイズと、短頭に刺激を入れるエクササイズを分けるのがポイント。

それぞれのエクササイズを簡単に説明すると、以下となります。

  • 長頭:回外(外向きに回す)動作を含まないエクササイズ

腕を太くするのに効果的

  • 短頭:回外(外向きに回す)動作を伴うエクササイズ

力こぶの高さを高くするのに効果的

長頭をターゲットにすると腕を太くするのに効果的で、短頭をターゲットにすると力こぶの高さを高くするのに効果的です。

初めのうちは必ずしも意識して行う必要はありませんが、トレーニングに慣れてきたら、長頭・短頭それぞれをターゲットとしたエクササイズを選ぶとよいでしょう。

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チーティング動作を使わない

どのトレーニングでもそうですが、チーティングを使わないように行いましょう。

チーティングとは、「ずる」のことを指します。上腕二頭筋の場合、以下がチーティングにあたります。

  • 動作中に膝の屈伸動作をする
  • 上体を振りながら動作を行う
  • 肘を動かして持ち上げる
  • 反動を使う
  • フォームを崩して行う

重量を追い求めてしまうと、チーティングをしてしまいがちです。

その結果、重い重量を扱っているけれど、実際にかかる上腕二頭筋への刺激は少ないということになってしまいます。

ゆっくりで正確な動作を意識し、正しいフォーム・動作で行える範囲で、重量を増やしていくようにしましょう。

関節可動域をフルに使う

ウエイトを途中までしか持ち上げなかったり、しっかり下まで下ろさなかったりすると、効果は減少します。筋肉を効果的に鍛えるには、関節可動域全体を動かす必要があるからです。

高重量を扱う前に、しっかりと関節可動域をフルに使って動作を行っているかを確認しましょう。

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背中や脚のトレーニング日に盛り込む

背中のトレーニングによくあるプル系やローイング系では、協働筋(※)として上腕二頭筋が使われます。そのため、背中の筋トレをした後に、上腕二頭筋を鍛える人が多いようです。

(※)メインで動く筋肉を補助し、同じ働きする筋肉のこと

1週間で全身を分割して鍛える場合は、脚のトレーニング後に取り入れても良いでしょう。ただし、背中の次の日に脚のトレーニングとなると、上腕二頭筋を連続で鍛えてしまうことになるので注意が必要です。

最低でも1日は休息の日を作るように、トレーニングメニューを作成しましょう。

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プロがおすすめする、上腕二頭筋をさらに限界まで追い込む方法

最後に、上腕二頭筋に強い刺激を入れるためのトレーニングメソッドを紹介します。

今回紹介するのは、フォーストレップ法です。フォーストレップ法とは、限界まで動作を行った後、補助を加え1~2回挙上する方法です。

この方法を使うことで、限界まで追い込むことができます。

フォーストレップ法のやり方(例)

  1. 10回程度、挙上できる重量を設定する
  2. 限界まで動作を行う(10回程度)
  3. 自力で持ち上げられなくなったら、補助をしてもらい持ち上げる(1~2回程度)
  4. これを3セット行う

  • 自分の手でサポートしてもいい

フォーストレップ法を行う場合、サポートをしてくれる人が必要です。

しかし、トレーニングを1人で行うという人も多いでしょう。そんな時は、ダンベルを活用して片手ずつ行い、反対側の手でサポートするとよいでしょう。

フォーストレップ法は、どのエクササイズでも使うことができますが、とてもハードなので、トレーニングに慣れてきてから取り入れるようにしましょう。

上腕二頭筋を鍛えて、力こぶで力強さをアピール!

上腕二頭筋は見ための印象が強いため、鍛える人が多い部位です。

エクササイズも豊富なため、いろいろなエクササイズを取り入れて異なる刺激を与えたり、長頭・短頭をそれぞれターゲットにしたエクササイズを選ぶことで、メリハリのある腕を作り上げることができます。

今回紹介したエクササイズをベースとし、効果的に鍛えるポイントを頭に入れて、効果的に上腕二頭筋を鍛えましょう!

著者プロフィール

和田拓巳(わだ・たくみ)

プロスポーツトレーナー歴22年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院や競技チーム帯同で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆や商品監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信中。2021年 著書「見るだけ筋トレ」(青春出版社)発刊。

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<Text:和田拓巳/Edit:編集部>

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