衝撃の9秒83の蘇炳添はドラゴンボールファン 愛称は「蘇神」、大学准教授も

[ 2021年8月1日 23:15 ]

東京五輪第10日 陸上男子100メートル ( 2021年8月1日    国立競技場 )

準決勝で同走したベイカー(左)とヤコブス、蘇炳添(AP)
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 男子100メートルの準決勝で、アジア新記録の9秒83(追い風0・9メートル)を出した蘇炳添(31=中国)は漫画「ドラゴンボール」の大ファン。SNSのアイコンを主人公の「孫悟空」にするほど。準決勝のゴール後、大きく股を開いて咆哮(ほうこう)する姿を見た中国人記者は「ドラゴンボールのマネをしたのではないか。ああいったポーズが出てくるでしょ?」と推測した。

 黄色人種で初の9秒台をマークするなど、華々しい活躍を続ける。母国では「蘇神」の愛称で親しまれ、あがめられているという。

 12年ロンドン五輪は10秒28で準決勝敗退。16年リオデジャネイロ五輪も10秒08で準決勝敗退をした。3度目の五輪準決勝で衝撃の9秒83をマークし、初の決勝進出を果たした。

 ファイナルはスタートで出遅れて6位だった。それでも9秒98をマークした。

 取材エリアでは「9秒8台は考えていなかった。天気、会場の雰囲気、足の感じ、全てがかみ合ってくれた。ラッキーだった。東京スタジアム(国立競技場)からいい運気をもらった。一生忘れられない」と喜んだ。

 世界記録保持者のボルト氏が引退したことで、「飛び抜けた選手がいなくなり、世界のレベルは同じくらいになった」と野心を持って今大会に臨んだ。準決勝に全てをかけていたようで、「セミファイナルで全てを出し尽くした。決勝は10秒以下で走れればと思っていた。目的は果たせた」と胸を張った。会場の照明を落として闇夜の中で選手紹介を受けた決勝の演出については、「とても興奮した」と声をはずませた。

 18年アジア大会で金メダルを獲得した後、家族との時間を過ごすために一時は引退した。広州にある名門大学、曁南(きなん)大学の准教授に就任するなど、陸上以外でも活躍をしている。

 次のターゲットは400メートルリレーで「中国記録をつくると思います」とメダル争いに名乗りを挙げた。 

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