五輪組織委がコロナ専門家会議開催 選手村視察で動線やスペース確保のアドバイスも

[ 2021年5月28日 14:17 ]

国立競技場と五輪マーク
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 東京五輪・パラリンピック組織委員会が新型コロナウイルス対策の実践へ助言を得るために設立した検討会「専門家ラウンドテーブル」の第2回会合が28日、開催された。この日はメンバーが東京都中央区晴海の選手村を約1時間20分かけて視察。コロナ対応のために設けられた発熱外来や検体採取センター、宿泊棟、メインダイニングなどの共用施設をチェックし、密を避けるための動線や活動を分離するスペースの確保、待機時間の減少などについてアドバイスをしたという。

 この日は東大大学院経済研究科・公共政策大学院の仲田泰祐准教授も会議に参加。五輪開催による感染への影響を定量分析し、海外からの入国者よりも開催による人流の発生が与える影響の方が大きいとの結果を公表したばかりで、急きょ招かれたという。分析では来日人数を10万5000人、半数がワクチンを接種済みと低めに見積もった上で、新規感染者は15人程度と予測。年末年始や3~4月に感染拡大した例を挙げて「五輪をやるやらないに関わらず、人流が活発化すると感染は拡大する」と指摘し、組織委の中村英正大会統括はパブリックビューイングやスポーツバーなど街中の観戦が感染拡大を引き起こす可能性に「より注意しないといけない」と話した。ただ、無観客とした場合の影響については、仲田准教授は「具体的な数字に関してはこの分析モデルは向いていない」と話した。

 国立感染症研究所感染症危機管理研究センターの斎藤智也センター長は「プレーブック(PB)」に示されたコロナ対策の実効性について問われ、「専門家はお墨付きを与える役割というか、こういうことをやるべき、準備すべきと言う役割と思っている」と、あくまでアドバイザーであることを強調。米国の公衆衛生専門家らがPBのコロナ対策が不十分と医学誌で指摘した件についても「(6月公表予定の)プレーブック第3版をつくるときに議論されると思うが、話題になっているポイントは指摘されたと思っている」と見解を示した。中村大会統括は「必要なものは第3版で変えようと思っている。競技ごとの記述がないと言われているが、競技ごとにIF(国際競技団体)とガイドブックはつくっている。指摘はいい形で生かして今夏につなげていければ」と明かした。

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2021年5月28日のニュース