荒磯親方独立 8月地元茨城に部屋立ち上げ、両国から最も遠い阿見町で“恩返し”

[ 2021年5月28日 05:30 ]

荒磯親方
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 大相撲の元横綱・稀勢の里の荒磯親方(34=田子ノ浦部屋)が8月1日付で独立し、茨城県内に新たに「荒磯部屋」を創設することが決まった。27日、東京・両国国技館で開かれた日本相撲協会の理事会で正式に承認された。出身地の牛久市に隣接する阿見町に建設予定の部屋は、全部屋の中で両国国技館から最も離れた部屋となるが、広い土地での指導を優先。「第2の稀勢の里」を育て、故郷に恩返しをする。

 荒磯親方が「一国一城の主」として相撲界、そして地元・茨城に恩返しをする。この日、相撲協会から正式に独立が認められ「親御さんから預かった弟子を強くさせ成長させることが目標。伝統文化を継承し弟子にも伝えていきたい」と抱負を述べた。

 19年1月の現役引退後は田子ノ浦部屋に所属。部屋付きとして後進の指導に当たる一方で、師匠として独立するための準備を進め、用地を確保した。名古屋場所後に「荒磯部屋」を立ち上げ、田子ノ浦部屋からは夏場所で序ノ口デビューを果たした西原、加藤、谷口に加え、序二段の足立、行司の木村隆之助が転籍する。建物の完成が来夏のため、いったん筑波大(つくば市)の武道場を稽古場として借用。準備が整い次第、阿見町に転居する。部屋は最寄りのJR常磐線の駅から両国駅まで約1時間半。つくばみらい市にある立浪部屋が近く東京都台東区に移転するため、43部屋の中では最も国技館から遠い部屋となる。

 都心から離れた場所を選んだのは、広い稽古場を設置するため。他の部屋には1面しかない土俵を2面以上設け、力士全員が常に土俵で汗を流してほしいとの思いがある。「地方の広い土地なら自分のやりたい育成ができる。環境を重視し、いろいろな挑戦ができると思った。故郷に恩返しをしたい気持ちもある」と説明した。

 指導方針は「力士一人一人を見極め、個性を伸ばす指導を心掛けたい。個性を伸ばすためには基本に忠実な稽古を重視したい」。20年4月から早大大学院のスポーツ科学研究科に入学。「新しい部屋経営の在り方」をテーマとした修士論文を発表し、最優秀論文として表彰されている。さまざまな経験と知識を生かした「部屋づくり」が注目される。

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