【上水研一朗の目】4年ぶり世界一の高藤 老かいな戦いに見えた成長

[ 2017年8月30日 08:20 ]

柔道世界選手権第1日 男子60kg級 ( 2017年8月28日    ハンガリー・ブダペスト )

柔道の世界選手権男子60キロ級で優勝し笑顔の高藤直寿
Photo By 共同

 高藤は落ち着いた試合ぶりだった。目一杯の試合をするというよりは、展開に合わせて攻める時は攻め、引くときは引く。世界選手権は3度目で五輪も経験。老かいな戦いぶりに成長が垣間見えた。

 リオ五輪では動きが硬く、止まったところを投げられたが、本来は自分から動き、相手の技を誘い、それを利用できる。決勝でも相手に小外刈りを誘い、そこを大内刈りで仕留めた。準決勝でも前技を警戒させておいて、後ろ技の隅返しで技ありを奪った。外国人選手は裏を取る戦術が苦手。自分のワールドに引き込めたのが勝因だ。逆に初出場の永山は雰囲気に飲まれて本来のリズムが出せず、技が単発になった。いい勉強になったと思う。

 渡名喜はガードを固め、相手の隙を突く戦いが徹底できていた。決勝でもいいところを持たれたが、一瞬の隙を突いて小外刈り。相手の動き始めをうまく引っかけるので、外国人選手にとっては非常にやっかいな選手に思われただろう。

 井上、増地の男女両監督は「最初が大事」と話していたこともあり、初日に2名を送り出し、その起用に選手が見事に応えた。日本チームとして最高のスタートになった。(東海大体育学部武道学科准教授、男子柔道部監督)

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2017年8月30日のニュース