東京五輪の秘密兵器17歳の常文恵 米でトップアマも拠点を国内に

[ 2016年12月15日 11:50 ]

 目指すは、20年東京五輪の金メダル――。大きな夢を抱いて帰国した逸材ゴルファーがいる。米女子アマの2大大会の一つをミシェル・ウィーの13歳に次ぐ年少記録の15歳で制し、米ゴルフ界でトップアマとして注目されていた常文恵(17)だ。競技者として母国で成長することを決意し、このほど活動拠点を国内に移した。4年後の五輪に照準を合わせ、15日から2日間行われるジュニア大会の日神カップ(千葉・浜野GC)で日本での第一歩を踏みだす。

 ひょっとしたら、この女子高生が東京五輪の“秘密兵器”になるかもしれない。常の武器は自ら「自信がある」という1Wだ。1メートル70、50キロの均整のとれた体から放たれるその飛距離は、平均257ヤード(データ計測器トラックマン調べ)。これがいかに凄い数字かは、今年の国内ツアーのニチレイ・レディースの時に計測された女子プロの公式ドライビングディスタンスの結果と比べるとよく分かる。

 トップは米ツアーでも飛ばし屋として知られるレキシー・トンプソンの278・8ヤード。2位が渡辺彩香で265・8ヤード。3位がパク・ソンヒョの265・5ヤードで4位が笠りつ子の253・6ヤードだった。飛距離は既にプロのトップレベル。しかもトラックマンの数値は実際よりも低く出る傾向があると言われるだけに、潜在的なパワーは世界レベルにあるといえる。

 ただし、持ち味は飛距離だけではない。「アイアンにも自信があります。100〜140ヤードのショットは安定していると思っています」と胸を張る。1Wで飛距離を稼ぎ、ショートアイアンでピンをデッドに狙う男子のようなプレースタイルが彼女のゴルフの真骨頂なのだ。

 14歳から過ごした米国では、プロに交じってミニツアーで2位に入り、14年の全米女子アマパブリックリンクスでは、15歳2カ月の史上2位の年少V記録をマーク。同大会の歴代優勝者には最年少優勝記録を持つウィーをはじめ、米ツアーの元賞金女王・曽雅?やジェニファー・ソンらプロでも活躍する顔触れが並ぶ。常は15年全米女子アマでもベスト16に進出。そうした実績から、スタンフォード大など米国のトップ校の誘いを受けたが、あえて日本に戻ることを決心した。

 「私の国籍は日本です。でも幼い頃に日本を離れたのでほとんど日本のことを知りません。言葉も勉強したいし、日本のことをもっと知りたい。だから日本でゴルフをやりたいと思いました」

 常の両親は中国・上海市出身。父・国保=くにやす=さん(53)は横浜市立大を経て日本企業に就職。97年に父と母・意津子=いつこ=さん(43)が日本国籍を取得し99年に常が生まれた。その後、国保さんの仕事の関係で一家で上海に渡り7歳から14歳まで同地で過ごした。

 ゴルフを始めたのは8歳から。曽雅?のゴルフスクールに通いながらすぐに頭角を現し中国のジュニア大会をあっという間に席巻、14歳で米国にゴルフ留学した。

 日本には7月に帰国、千葉県内に自宅を構え現在は母と生活。父は上海に単身赴任中だ。来年から日本の試合に本格挑戦する予定で、自宅近くのゴルフ場で練習もスタート。「日本で活躍して東京五輪に出られるようになりたい。目標は金メダルです」。日本では畑岡奈紗が来季から米ツアーに参戦することが注目されているがアキバ系アイドルのようなルックスを持つこちらの17歳も、将来性では負けていない。

 ◆常 文恵(じょう・ふみえ)1999年(平11)5月7日生まれの17歳。富山県高岡市出身。7〜14歳まで中国で過ごし、その後米国に留学。現在米国の通信制高校に在籍中の女子高校生。15年IMGジュニアゴルフツアー優勝。同年サンコースト女子プロツアー2位。16年ジョイDジュニア選手権優勝。両親と3人家族。ミドルネームはアリス。

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