パナソニック 薄氷3連覇 後半ロスタイムに1点差…負け覚悟

[ 2016年1月25日 05:30 ]

<パナソニック・東芝>優勝し、抱き合って喜ぶ田中(左上)ら

ラグビートップリーグ決勝 パナソニック27―26東芝

(1月24日 秩父宮)
 決勝が行われ、パナソニックが27―26で東芝との接戦を制し、3季連続4度目の優勝を果たした。リーグ3連覇は04~06年度の東芝に並ぶリーグ記録で史上2チーム目。6点リードの後半ロスタイムに東芝にトライを奪われ万事休すかに思われたが、コンバージョンキックが外れ、辛くも逃げ切った。また、3位決定戦はヤマハ発動機が26―22で神戸製鋼に逆転勝ちした。パナソニックは31日の日本選手権(秩父宮)で、帝京大と対戦する。

 ほとんどの選手が天を仰ぎ、ゴールラインに整列するとうつむいてしまった。後半41分、自陣深くに攻め込まれ、1点差とされるトライを奪われた。相手FBステインのコンバージョンキックの瞬間、フッカー堀江主将は「見ていられなかった」と言い、SH田中も「外れろと願っていた」。

 そしてその願いは届く。右タッチラインから7メートル、ゴールラインまで24メートルの位置から放たれたキックは、逆風に流されゴールポスト左へ。その軌道を見届けた15人は悪夢から覚めたかのように跳びはねて喜び合った。「後味は良くないですよ。でも3連覇できたし、ラグビーを人気にできたという思いがあった」。代表活動を通じてラグビー人気向上に努めてきた田中は、ピッチの真ん中で号泣した理由を語った。

 両チームともに昨年のW杯日本代表に5選手ずつを輩出。ただ最多の6人を送り出したサントリーが今季は9位に沈んだように、代表選手の力だけで勝ちきれるほど甘い世界ではない。トライ数では東芝の4を下回る3ながら、得点では1点上回ったのは、ミスに付け込み確実に得点につなげるチーム力の差だった。

 象徴的な場面が後半20分。相手の不用意なキックを処理した田中が、スペースへと自ら突進。連動した他の14人がポジション取りを変え、レギュラーシーズン7試合でリーグ最少の100失点を誇った東芝のディフェンス陣形をあっという間に崩した。ボールは田中から堀江、CTBピーターセンとつながれトライ。堀江が「1人(田中)の判断に全員が反応して動いたのがあの形(トライ)」と言ったように、ボールタッチした3人以外の動きが、相手の判断を鈍らせトライを呼んだ。

 ディーンズ監督は「我々の方が、少しだけ運を引き寄せるものを持っていたと思う」と言った。その運を引き寄せたのは、日本代表も控えも関係なく、チームのために身を粉にした選手の努力だった。

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