錦織「自分らしいテニス取り戻せた」惜敗もフェデラー追い詰めた

[ 2015年11月21日 05:30 ]

錦織と握手するフェデラー(AP)

男子テニス ATPツアー・ファイナル第5日シングルス1次リーグA

(11月19日 ロンドン・O2アリーナ)
 世界ランキング8位の錦織圭(25=日清食品)は、1次リーグ最終戦で同3位のロジャー・フェデラー(34=スイス)に5―7、6―4、4―6で敗れ、1勝2敗で1次リーグ敗退が決まった。夏以降は不振に陥っていたが、尊敬するフェデラーを相手に息詰まる熱戦を展開。今季の戦いはこれで幕を閉じたが、来年1月から始まる新シーズンに向けて自信を取り戻した最終戦となった。

 錦織とフェデラーが1球打つたびに場内の熱が高まる。8割程度の入りだったスタンドは、最後は満員時にも引けを取らない熱気に包まれた。スーパーショット連発の攻防に魅了された大歓声は、敗れた錦織にも注がれた。

 「きょうは特に熱が入っていたので、内容もあまり覚えていない。思い出せないぐらい集中していた」。鋭く踏み込む攻撃的なリターン、ループを交ぜて変化をつけたストローク、ストレートへの素早い切り返し。錦織らしさが随所に見られた。何より勝利への執念、気迫は「モヤモヤしていた」という不振の後半戦になかったものだ。

 第1セットを落とし、第2セットも1―4と追い込まれてから、2度のブレークを含む5ゲーム連取で奪い返した。最終セットは第4ゲームをブレークされた後、第7ゲームでブレークバックに成功。尊敬するフェデラーとの無心の打ち合いが錦織の闘争本能を呼び覚ました。「自分らしいテニスを取り戻せたのは大きな満足。久しぶりに楽しめた一戦だった」と今季最後の試合をいい形で終えた満足感をにじませた。

 前半戦は世界ランキング4位まで上昇するなど昨年を上回る強さを見せた。1回戦負けに終わった全米オープン以降は苦しんだが、1年を通じてトップ10を維持。昨年はこの大会に出ていた同年代のチリッチ(クロアチア)らはトップ10から陥落しており「去年出ていたメンツが出られない中で、2年連続でトップ8は非常に価値がある」と評価した。

 「来年はマスターズ大会やグランドスラムでもっと上位にいくこと。大きなタイトルを獲ることに意味がある」。トッププレーヤーとして過ごした1年の経験が、来季への大きな糧になる。

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2015年11月21日のニュース