【ジャパンウエー軌跡と未来図1】石けん水に卵…実戦想定独特トレ

[ 2015年10月14日 09:30 ]

練習でアメフトのボールを手にウオーミングアップする五郎丸

 W杯で3勝1敗ながら、1次リーグ敗退となった日本代表。根っからの勝負師で、W杯で勝つことに全てを注いできたエディー・ジョーンズHCの4年間もまた、W杯で勝つことを追求し続ける日々だった。過去7大会で1勝2分け21敗だった日本が、世界を驚かせる快進撃を見せるに至った理由と、この先4年の課題を見通す。

 最後の最後まで、その練習法は独特だった。1次リーグ最後の米国戦を控えた10日、試合会場のグロスターには、大きなプラスチック製容器が用意されていた。中には石けん水とラグビーボール。合宿でもたびたび見られた光景だが、試合前日に至るまでボールが滑る状況を想定する周到ぶりだった。ラグビーボールならまだいい。選手たちはこの4年間、サッカーボール、アメリカンフットボール、時には卵と、ハンドリングを磨くためにさまざまなものをラグビーボール代わりに使った。

 ジョーンズHCが嫌った練習法の一つに、いわゆる「ランパス」がある。会見や講演などでもたびたび「選手が4人等間隔にきれいに並んで、走ってパスをする。そんな状況、試合でありますか?」と、日本独自の練習に疑問を投げかけた。翻ってエディージャパンの練習は、全て実戦から抽出されたもの。例えば7月にはタックルバッグを横倒しで置き、その先の相手をクリーンアウト(押し返す)する練習を取り入れた。試合では単純に1対1でタックルする場面だけではなく、密集で倒れ込んだ選手の先にいる相手に圧力をかける場面が生じる。選手の発案でその練習法を取り入れるなど、柔軟性も兼ね備えていた。

 3度のW杯を経験したロック大野が「試合よりも練習の方がきつい」と常々口にした。ボールを使った練習の間にインターバル走を挟むなど、選手の心拍数を上げた中で休みなくボール練習を課し、常に実戦よりもきつい状況をつくった。早朝からの3部、4部練習、家族ともろくに会えない拘束期間の長さ。精神的にも追い込まれる状況を乗り越えた選手は、W杯の舞台でも浮足立つことがなかった。(特別取材班)

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2015年10月14日のニュース