無形のレガシーを…地域住民「おもてなし」でアピールしたい日本の魅力

[ 2015年7月25日 09:54 ]

02年W杯、アイルランド戦でカメルーンが先制点を挙げたことに喜ぶ中津江村の人々

 「東京五輪というより日本五輪にしたい」。遠藤利明・五輪パラリンピック担当相の言葉を具現化するキーワードの1つが、各国・地域が日本各地に展開するであろう、事前キャンプだと思う。

 実は今年1月に組織委員会が応募要項を発表したところ、47都道府県と402市区町村から希望があり、すでに正式な申請書類も100件以上届いたという。組織委によれば、ロンドン五輪時に事前キャンプの契約を行ったのは93の国と地域で、118の施設。20年東京の場合、立候補締め切りは18年7月とまだまだ先。日本の関心の高さがうかがえる。

 契約はキャンプを実施する国、地域の費用負担。その直接的な収入だけでなく、応援に訪れる観光客などによる間接的収入も見込める。訪問者の評価によっては、長期的な観光収入も期待できるかもしれない。日常とは異なる国際交流は、地域社会に少なからず刺激を与えるだろう。

 ただし、ここで注視したいのは、受け入れる自治体のスポーツ施設や宿泊環境といったハード面ではなく、地域住民の関心、つまりソフト面だ。

 98年長野五輪時に世界で初めて導入された「1校1国運動」がその後も引き継がれていることを例に挙げるまでもなく、日本の「おもてなし」の心は、高い評価を受けてきた。最たる例は02年のサッカーW杯。大分出身の筆者ですら名前しか知らなかった中津江村(現在は日田市の一部)は、カメルーンのキャンプ地として盛り上がった。利便性は決してトップクラスではないと思うが、快適性は高かったのだろう。何より素晴らしいと思うのは、今も交流が続いていることだ。

 ハードとしての立派なスポーツ施設はなぜか日本各地にある(税金の無駄遣いとは言わないが)。その施設の活用、つまり経済効果という有形のものだけでなく、無形のレガシーが残ることも期待したい。 (首藤 昌史)

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