光里 涙のち笑顔の悲願ツアー初V、劇的18番バーディー決着

[ 2015年4月27日 05:30 ]

笑顔で優勝杯をかかげる藤田

女子ゴルフツアー フジサンケイ・レディース・クラシック最終日

(4月26日 静岡県伊東市 川奈ホテルゴルフコース富士コース=6367ヤード、パー72)
 うれし涙の後は会心の笑顔が“ひかり”輝いた。3位から出た藤田光里(20=レオパレスリゾートグアム)は強気のパットが奏功し、4バーディー、1ボギーの69をマーク。通算7アンダーの209でプロ2年目にして悲願の初優勝を挙げた。首位から出た一ノ瀬優希(26=フリー)は73と伸ばせず、通算6アンダーの2位に終わった。
【最終R成績】

 歓喜のドラマは最終18番グリーンで待っていた。最終組の藤田、一ノ瀬、金ナリを含む6人が通算6アンダーの首位に並ぶ大混戦。先に一ノ瀬、金ナリがバーディートライを外し、藤田も外せばツアータイ記録となる6人のプレーオフに突入する。奥のカラーから下り5メートルのフックライン。覚悟を決めた。「迷わずにパターで打った」という第3打はゆっくりと転がり、そのままカップに吸い込まれた。

 両腕を突き上げ大江キャディーと抱き合う。「去年の暮れの苦しい時期、クラブを握れなくてショットを打てなかったことを思い出した。やっと優勝できてうれしい」と目を赤くしながらもキュートな笑みを浮かべた。

 最終日は3打差を追ってスタート。「今年は絶対にパットをショートしないということを意識している」と芝目のきつい高麗芝には強気のタッチがはまった。4番で下り1メートル。5番で下り2・5メートル、7番でまたしても下り1・5メートルを沈めて首位へと迫った。

 昨年秋からショットのスランプに陥った。予選落ちを繰り返し、「ゴルフをやめたい、試合に出たくないとばかり思っていた」。シードがほぼ確定したシーズン終盤は試合の欠場も考えたほど。オフはあえてクラブを握らない時間をつくり、ゴルフへの思いが自然と湧き出るまで待った。

 今も忘れぬあの言葉が藤田の原動力だ。中3で出場した09年の新潟国体。ホールアウト後に成績ボードを見ていると、他県の選手の声が耳に入った。「北海道の選手に負けてる~」。その時、他県に進学せず「絶対、北海道でゴルフをやってやる」と決めた。ラウンドのできない冬は気温マイナス10度の極寒でも1日1000球を打ち込み、環境の恵まれたゴルファーとの差を埋めてきた。先週は同じ北海道出身の菊地絵理香が初優勝。「私も諦めなければやれる」。最後のバーディーは執念でつかんだ。

 社交ダンスの講師で、ゴルフが趣味の父・孝幸さん(62)の指導の下、小2から試合に出始めた。寝る前には父の寝室へ行き「住所、名前、電話番号を言って“プロゴルファーになって賞金女王になりますっ!”と宣言しなければ寝させてもらえなかった」という。プロで成功するという揺るぎない決意はその時から刻まれた。伸び盛りの20歳が掲げた今後の目標は「複数回優勝」、そして、もちろん「いつかは賞金女王になる」。この日、夢への確かな一歩を踏み出した。

 【勝者のクラブ】▼1W=キャロウェイXRプロ(ロフト角9度、シャフトの長さ46インチ、硬さS)▼3W=同XR▼3、4U=同XR▼5I~PW同APEXプロ▼ウエッジ=マックダディ(47度)、マックダディ・ツアーグラインド(52、56度)▼パター=オデッセイ・ホワイトダマスカス♯9▼ボール=キャロウェイSR2・5

 ≪大江キャディー「自分貫いた」≫昨年8月のNEC軽井沢72から継続して藤田のバッグを担ぐ大江順一キャディー(36)は「きょうは最後まで自分のゴルフを貫いていた。それが良かったのでは」と分析した。昨年終盤ショットに苦しんだが「もともとショットメーカーでパターもうまい選手。去年は極端に悪くなりすぎたが、それが元に戻ったように思う」と語った。

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