錦織 史上10人目の連覇、日本人最多ツアー9勝 全仏制覇見えた

[ 2015年4月27日 05:30 ]

バルセロナ・オープンで連覇を果たし、トロフィーを掲げる錦織(AP)

男子テニス バルセロナ・オープン

(4月26日 スペイン・バルセロナ)
 全仏制覇が見えた!世界ランキング5位で第1シードの錦織圭(25=日清食品)は、決勝戦でノーシードから勝ち上がってきた同66位のパブロ・アンドゥハール(29=スペイン)を6―4、6―4で下した。クレー王国スペインで大会史上10人目の連覇を達成。女子のクルム伊達公子を抜いて日本人単独最多となるツアー9勝目を挙げた。今季クレー初戦での活躍に、全仏オープン(5月24日開幕、ローランギャロス)への期待も膨らんできた。

 5位と66位。勝って当然の重圧、連覇が懸かる状況。錦織は出だしから明らかに硬かった。

 開始直後のゲームは第1サーブが入らず、ダブルフォールトも犯していきなりブレークを許した。ここまでの勝ち上がりとは異なる苦しい立ち上がり。直後のゲームをブレークバックしたものの、その後も浅くなったチャンスボールでフォアを大きくアウトするなどミスが目立った。それでも5―4で迎えた第10ゲームをブレークして第1セットは勝ち取った。

 しかし、第2セットも最初のゲームをブレークされ、アンドゥハールの積極的なネットプレーにも苦しめられた。だが、第1シードは強かった。最後は地力を見せて逆転した。

 「驚きだった」という昨年の優勝から1年がたち、クレーでの戦いぶりもすっかり堂に入ったものとなった。ジュニア時代に得意としていたサーフェス(コートの種類)だが、プロになるとハードコートでの戦いが主流となり、いつしか苦手意識が芽生えていた。それが昨年の躍進で「戦い方、勝ち方が分かってきた」と手応えをつかんだ。

 「ハードコートでは左右の動きが多いけどクレーでは前後が増える。昨年からは前に踏み込む動きも増えているので、怠けずに足を動かして胸の高さで打てるように意識している」

 ハードコートで行われたマイアミ・オープンが終わってからは、マイケル・チャン・コーチのいるカリフォルニアで“ミニキャンプ”。フットワークに重点を置いたクレー対策を積んできた。

 優勝賞金42万2100ユーロ(約5490万円)を獲得し、今季賞金額はドル換算すれば早くも100万ドル(約1億1900万円)を突破。生涯獲得賞金も900万ドル(約10億7100万円)に達した。クレー王国スペイン最古のトーナメントとなるこの大会を制し、同年に全仏オープンでも勝った選手は過去に8人いる。クレーでの活躍に期待は膨らむばかりだ。今後はマスターズ大会2試合を挟んで全仏だ。バルセロナに始まりマドリード、ローマを経てローランギャロスへ続く道。日本のエースが前途洋々のスタートを切った。

 ▼錦織の昨年の優勝VTR 前戦を左股関節痛で棄権してから約1カ月ぶりの復帰戦。ケガの影響を感じさせず、世界ランキング17位の第4シードとして順調に勝ち上がった。決勝では同65位のヒラルド(コロンビア)に6―2、6―2と決勝での大会史上最少ゲーム数を記録して完勝した。ツアー5勝目は錦織にとってクレーコート初優勝。第62回を迎えた伝統の大会で11年続いたスペイン勢の牙城を崩し、アジア勢初の王者に輝いた。

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