内村 単独最多8度目V、記録関心なし「そうなんですか」

[ 2015年4月27日 05:30 ]

体操全日本選手権男子個人総合決勝、最終種目の鉄棒を終え、ガッツポーズする内村

体操全日本選手権個人総合最終日

(4月26日 東京・国立代々木競技場)
 世界選手権(10~11月・英グラスゴー)の代表選考会を兼ねて男女決勝が行われ、既に代表に内定している内村航平(26=コナミスポーツク)が、予選と合わせて合計182・700点で自身が持つ連覇記録を8に伸ばした。疲労を考慮し、予選よりもDスコア(演技価値点)を2・2点も下げながら、決勝も貫禄のトップ。通算8度の優勝は男子単独最多となった。予選の得点を持ち越さない女子は寺本明日香(19=中京大)が57・350点で初優勝した。

 常に自分と闘うキングは個人の勝敗にあまり興味がない。8連覇を達成しても「疲労がちょっとすごいので、それどころじゃない」と苦笑いを浮かべた内村は、男子最多となる通算8度目の戴冠にも「えっ、そうなんですか?」と無関心。この日も自分を冷静に見つめ、演技に臨んでいた。

 世界で勝ち続ける男にとって、国内の試合で燃える要素を探すのは難しい。「朝、起きた時から気持ちの面で上がってくるものがなかった。このままやるとケガしそうな感じがあった」。冷静に状態を判断し、24日の予選からDスコアを2・2点も下げた。無難な構成で大きなミスなく得点を稼いだ結果、決勝でもトップ。「2日目(決勝は)負けたと思っていた」と振り返った。

 予選では跳馬でDスコア6・2点の大技「リ・シャオペン」に成功したが、決勝は同5・6点の「シューフェルト」に変更。コナミスポーツクの森泉ヘッドコーチは「今大会のテーマはリ・シャオペンを決めることだった」と言う。予選で目標をクリアし、決勝は安全運転。それでも負けないのが内村の強さだ。

 体操界ではベテランの域に入る26歳。「ちょっとずつしんどくなってきた。これから年々しんどくなるのかな…」。気持ちは乗らず、体は疲労困憊(こんぱい)。そんな中で立った表彰台で、連覇が持つ意味を考えた。「自分が上に立っていないと下に刺激を与えられない。力をキープし続ければ、それが日本の底上げになる」。体操ニッポンのために、キングはキングであり続ける。

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