IMGアカデミー同期が語る錦織の凄さ 緊迫の場面で上がるギア

[ 2014年9月3日 09:35 ]

IMGアカデミー時代の(左から)錦織、富田さん、喜多さん

錦織圭 日本男子92年ぶり全米オープン8強入り

 「今の圭を見れば不思議とは思わない。でも当時はこれだけの活躍は想像できなかった」。そう語るのは現在リコーのテニス部に所属している喜多文明さんだ。錦織と同い年で、中学時代に米フロリダ州のIMGアカデミーに3人でテニス留学した同期生でもある。

 米国では朝から晩までテニス漬けの生活。世界のトップ10など現実感のない「雲の上」の話でしかなかった。ただし、喜多さんはひときわ小柄だった錦織に自分にはない才能も見ていた。「競った場面、緊張する場面で、それまでの内容を理解してさらに一段上のプレーができる。いちかばちかでも守りに入るのでもない。その感覚は僕には分からなかった」。技術だけでは語れない天性のスーパープレー。今も錦織が時折見せるものだ。

 もう一人の同期生だった富田玄輝さんもその成長ぶりに驚く。「リターンはよかったけどそこまで攻撃力はなかった。ただ凄く乗ってきた時はテンポ良く攻めて会場が沸くようなプレーをする。それは今も一緒ですね」。当時の錦織の性格は「根暗」。「今は違うけど、テニスコートでもなかなか自己主張ができなかった」と審判や相手選手を前に口ごもることが多かったという。現在の堂々としたコート上の態度からは想像もつかない。

 帰国して大学在学中にプロ活動もした喜多さんは、今はリコーの社員として働く。就業後に自らの練習に励みつつ、錦織の試合のチェックは欠かさない。ブリヂストンスポーツでテニス関連の販促の仕事をしている富田さんだが、大学卒業後はほとんどテニスをしなくなったという。

 ケイ、フミ、ゲンキと呼び合い、米国で青春時代を過ごした3人。「年間の成績上位8人だけが出られる最終戦に出てほしい」(喜多さん)「どうせなら1回ぐらいグランドスラムで優勝してほしい」(富田さん)。一緒に夢を追いかけた同志は、それぞれの道を歩きながら錦織の活躍を見つめている。

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