嘉風、伸び盛り32歳3カ月27日最年長初金星 日馬に4連勝

[ 2014年7月17日 05:30 ]

倒した日馬富士を上から見下ろす嘉風

大相撲名古屋場所4日目

(7月16日 愛知県体育館)
 西前頭2枚目の嘉風が横綱・日馬富士を肩透かしで破り、32歳3カ月27日で初金星を獲得した。年6場所制となった1958年以降では最年長記録。先場所に新三役となったベテランが3勝1敗と序盤を盛り上げている。横綱・白鵬は豊真将を寄り切り、横綱・鶴竜も松鳳山をはたき込んでともに4連勝。全勝は大関・琴奨菊、平幕の高安、千代丸を合わせて5人となった。
【取組結果】

 熱い魂の中に冷静さを兼ね備えた“アラサー力士”の嘉風が大仕事をやってのけた。小結だった先場所も破った日馬富士を、今回は平幕として倒した。年6場所制以降では、玉龍が保持していた最年長初金星記録を6日更新。祝福するかのように、館内に次々と座布団が舞った。32歳3カ月と27日。妻子もある父親は興奮を押し隠すように花道を引き揚げた。

 「冷静な自分もいたし、興奮している自分もいた。金星の実感は湧いていない。横綱に勝ったことがうれしい」

 当たってすぐに左からいなし、突き、押しと攻撃をやめなかった。いったんは左四つに組まれたものの、相手の左下手を切りながら左に回り込んで、最後は冷静に肩透かしを決めて3勝1敗。「全部力を出し切った」と若武者のように誰よりも荒々しく土俵を動き回った一方で「土俵の上から自分の相撲を見ているようだった」と心の中は至って平穏だった。

 独特の世界観で場所の“流れ”を読んだ。3日目までの取組を終え、今場所は「横綱が危ないながらも最後は対処している場所」と分析。だからこそ「最後まで攻めなければいけないという準備ができた」と話し、日馬富士には4連勝とした。

 場所の流れを読もうと思ったのはサッカーW杯を見ていたからだ。「今大会はGKが活躍した大会。少し前の大会はミドルシュートが注目されていた」。サッカーと相撲という全く違う2つの競技から、開催期間中に必ず浮かび上がってくる大会(場所)の傾向を見いだして対策を練り、見事に“流れ”を打破した。

 先場所、幕内在位48場所目で新三役に上がったまだまだ“伸び盛り”。「長かったですけど、金星を獲れずに終わる人もいる」。発展途上の32歳は、暑い名古屋をさらに熱くするつもりだ。

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2014年7月17日のニュース