ニクラウス 自身のメジャー初V時と重ねた言葉で松山祝福

[ 2014年6月3日 07:00 ]

米ツアー初優勝を果たし、ジャック・ニクラウス氏(右)と記念写真に納まる松山英樹(AP)

USPGAツアー メモリアル・トーナメント最終日

(6月1日 米オハイオ州ダブリン ミュアフィールド・ビレッジGC=7392ヤード、パー72)
 メモリアル・トーナメントでホスト役を務めるジャック・ニクラウス(74)は、松山の姿の中にゴルフ界の新時代を感じ取っていた。かつての帝王は日本からやってきた22歳の若者を称賛。

 表彰式で松山にクリスタル製の優勝トロフィーを手渡したニクラウスは記者会見にも同席。米国の記者から松山に「ニクラウスと青木功がバルタスロール(ニュージャージー州)で演じた全米オープン(80年)を知っているか?」という質問が出ると「あまりにも昔の話だから答えるのは無理」と助け舟を出した。そして「ずっと前から注目していたが、彼(松山)のプレーのテンポは実にいいんだ。冷静さも失わない。しかも体が他の日本人選手よりも大きい。ジャンボ(尾崎将司)は大きかったし青木も背は高かったが、決して強じんではなかった」とフォロー。日本を代表する2人の“先駆者”との違いを記者たちに説明した。

 オハイオ州立大出身で現在の松山と同じ22歳でプロ転向。会見の途中からは、若くしてPGAツアーで活躍するその姿に、自分の“過去”を重ねたような口調になっていく。「パッティングは実にスムーズ。ストロークがとてもいい。22歳で、もうそれができている。状況に応じて両耳の間(頭脳)を駆使してパットを決めることが可能だ。たぶん長持ちするよ」。初優勝ではあるが、ニクラウスはすでに松山の未来の姿が目に浮かんでいるようでもあった。「この先、10年、いや15年にわたって世界で活躍するプレーヤーの競技人生の始まりを我々は見ているのだと思う」。その言葉はプロ転向初年度となった62年の全米オープンでメジャー初制覇を達成した時、多くの記者たちがのちの帝王に使ったフレーズを思い起こさせる。

 史上最多のメジャー18勝を挙げ、米国では「ゴールデン・ベア」と呼ばれ続けてきたゴルフ界の至宝。故郷オハイオで出会った一人の日本人は彼の両耳の間に鮮明な記憶として残っていくだろう。

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2014年6月3日のニュース