強い野口が仙台で復活 5年ぶり公式戦V

[ 2013年5月13日 06:00 ]

5年ぶりに公式レースで優勝を果たし、表彰台で笑顔を見せる野口みずき

仙台国際ハーフマラソン

(5月12日 宮城・仙台市陸上競技場発着=21・0975キロ)
 鬼門から意地の復活劇を見せる!今夏の世界選手権(モスクワ)女子マラソン代表の野口みずき(34=シスメックス)が9キロ付近から独走態勢に持ち込み、1時間10分36秒で、08年のこの大会以来5年ぶりに公式レースで優勝した。欠場した08年北京五輪と同じく、スイス・サンモリッツ合宿から乗り込む本番で完全復活を目指す。世界選手権男子マラソン代表の川内優輝(26=埼玉県庁)は1時間3分30秒で10位だった。

 両手を広げてゴールテープを切った野口はスタンドから拍手と歓声を浴びた。5年ぶりの快感となったが、その笑顔には苦味が交じっていた。

 「優勝できたけど目標の(1時間)8~9分台を達成できず、悔しい」

 出だしで違和感を覚えた。「練習を積んだ疲労なのか上りがきつかった」。ストライドが伸びず、フォームは迫力を欠いた。スタートから8キロ付近まで緩やかな上りが続く。序盤から1キロ3分15秒の設定ペースに届かず、伴走の高柳祐也コーチ(22)が何度も後ろを振り返ったほどだ。

 下りに入った9キロ付近で「体が軽くなり動きが良くなった」と手応えをつかむと、トップで並走していた樋口紀子(ワコール)を引き離して独走態勢に。前半の出遅れを挽回できず、1時間10分台でのゴールだったが、前哨戦の勝利は前に進む活力を与えた。野口は「走るたびに順位は良くなってる。これを自信に世界選手権に向けて頑張ります」と精進を誓った。

 あえて鬼門から完全復活を目指す。本番直前の合宿はスイス・サンモリッツで実施する。故障で欠場した08年北京五輪と同じ臨戦過程だ。合宿地選定の根拠として、広瀬監督はモスクワとの時差や移動時間、練習環境に慣れている点を挙げた。だが、野口の負けん気の強さも理由の一つだ。大会前日の11日にはハードな練習をこなせる原動力に意地を挙げた。「(競技人生で)頂点を見て、どん底に落ちた。格好いい終わり方をしたい。いい印象で自分の競技を終わりたい。やっぱり意地ですね」。ジンクスを打破し、栄光をつかんでこそ完全復活。34歳の反骨ランナーが燃えている。

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2013年5月13日のニュース