“ビリケン”藤本、圧巻9バーディー!63で暫定首位

[ 2012年8月24日 06:00 ]

初日9アンダーと好スタートを切り、笑顔を見せる藤本

男子ゴルフツアー VanaH杯KBCオーガスタ第1日

(8月23日 福岡県糸島市 芥屋ゴルフ倶楽部=7146ヤード、パー72)
 “ビリケン”こと藤本佳則(22=フリー)がロケットスタートを切った。初の同組となった石川遼(20=パナソニック)の乱調を尻目に、ノーボギーで自己ベスト&コースレコードタイの63。6月の日本ツアー選手権以来となる2勝目に向けて暫定首位に立った。石川は4バーディー、6ボギーの74で暫定122位と大きく出遅れた。悪天候のため35人がホールアウトできず、サスペンデッドとなった。

 最初にギャラリーの目を引いたのは石川の方だった。往年の西武ライオンズをほうふつさせる全身水色ウエアはインパクト大。しかし、コースに出れば立場は逆転。終わってみれば、主役の座には勢いの差を見せつけた藤本が就いた。

 フェアウエーを外したのは2回だけで、アイアンは1メートル前後のチャンスを次々に生み出した。非凡なセンスを発揮したのは、5、6番と連続バーディーで迎えた7番だった。ラフからの第2打は残り140ヤードで「(ロフト角)52度(のクラブ)ではギリギリ」の距離だった。しかし、ここで冷静な分析が好結果を呼んだ。この日のショットの感覚のズレを察知し、とっさにPWを選択。これが奏功し、1メートルに寄せ、楽々バーディーを奪った。終わってみれば9バーディー、大会最少ストローク63で首位発進。ただし、当の藤本は「ギャラリーから見たら調子いいなと思うだろうけど…」と調子と見合わぬビッグスコアに苦笑いだった。

 ルーキーイヤーでツアー転戦は未知の世界。試合間隔が十分に空き、その間にじっくり課題を消化できたアマ時代とは違う。それがストレスに感じることもあるが、そんな連戦の最中でも結果を求められるのがプロ。全英オープンとブリヂストン招待で初めて海外ツアーを経験し、海外トッププロの球筋に魅了された。帰国直後の先週の試合では、飛距離とスピン量アップを求めてスイングを調整。「インパクト前からヘッドを走らせよう」とした結果、スコアも崩した。

 ただでさえ、疲れた体にスイングまでいじれば、まとまるものもまとまらない。「とりあえず今週はやってない」と新しい試みは脇に置いてスコアメークに徹した。「(絶好調ではなくても)こういうゴルフができたのは自信になりました」。ルーキーでの2勝目に向け、ビリケン様によく似た顔がほころんだ。

 ▽ビリケン とがった頭とつり上がった目が特徴的な幸運の神の像。1908年に米国の女流美術家が制作し、福の神として世界で流行した。米大統領、ウィリアム・タフトの略称「ビリー」から取ったとも言われる。日本にも20世紀初頭に伝えられ、大正時代に流行。顔などが似ていた寺内正毅首相は「ビリケン首相」と言われた。日本では大阪・通天閣にあるものが有名。

続きを表示

この記事のフォト

2012年8月24日のニュース