「白鵬スペシャル」さく裂 必勝スタイルで6連勝

[ 2012年7月14日 06:00 ]

母国モンゴルから招待した子供たちとともに記念写真におさまる白鵬

大相撲名古屋場所6日目

(7月13日 愛知県体育館)
 横綱・白鵬が得意の右四つの形から隠岐の海を一気に寄り切って6連勝とした。序盤戦はらしくない相撲内容が目立ったが、ここにきて初めて“スペシャル技”で完勝。貴乃花を抜いて単独5位となる23回目の優勝に向け、中盤戦に来て調子を上げてきた。大関以上は2日続けて安泰。把瑠都は若荒雄をはりま投げで退け、日馬富士も掛け投げで豪栄道を下し、ともに無敗を守り、全勝は平幕の大道を加えて4人となった。
【取組結果】

 左上手を取り、差した右のかいなを返して一気に寄る「白鵬スペシャル」が6日目にしてさく裂した。同じ右四つの隠岐の海に対し、今場所初めて究極の攻めを敢行。3年前の春に同じ一門の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)から「左で上手を取った時に、差している右のかいなを返すようにすれば楽に取れるぞ」とアドバイスされて確立した必勝スタイルで無傷の6連勝を飾った。

 「久々にまわし取れた。描いたイメージ通りの相撲を出せました」

 支度部屋では笑みをこぼすが、出番前には不吉な前兆が脳裏をよぎった。結びの4番前で把瑠都が若荒雄に十両以上では2年ぶりとなる「はりま投げ」で勝利。実は忘れもしない自身の連勝記録が「63」でストップした2年前の九州場所2日目にも把瑠都は同じ技で阿覧を下している。その際に土俵だまりで待機していた白鵬はあまりの豪快な投げ技に目を奪われ、集中力をそがれ、稀勢の里に敗北。それから1年8カ月がたったが、偶然にもこの日は13日の金曜日…。負けていても決しておかしくない流れの中で最高の勝ち方で勝利し、北の湖理事長(元横綱)も「寄せ付けなかった。中盤から後半にかけてもこの調子でいってもらいたい」と太鼓判を押した。先場所5敗を喫した悪い流れは完全に断ち切れたといっていい。

 館内では故郷モンゴルで読書感想文の優秀賞を取った5人の小中学生が観戦。白鵬も一部の旅費を負担しており、帰り際に子供たちと記念撮影を行うなど久々に笑顔も出た。2日連続で1横綱6大関の安泰を達成したが、そんな意識は「きのうもきょうもなかった」と自らの取組だけに集中。一人横綱が狙っているのは双葉山、大鵬を超えて単独1位となる9回目の全勝優勝だ。

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2012年7月14日のニュース