米満 作戦不足で銀…ロンドン五輪へ課題くっきり

[ 2011年9月20日 06:00 ]

男子フリー66キロ級で銀メダルを獲得した米満達弘

世界選手権最終日

(9月18日 トルコ・イスタンブール)
 男子フリー66キロ級決勝で米満達弘(25=自衛隊)がメディ・タガビ・ケルマニ(イラン)に敗れたものの、フリーでは95年大会62キロ級(当時)の和田貴広(現国士舘大コーチ)以来の銀メダルを獲得した。大会は全日程を終了。女子は五輪実施の3階級で金メダルを獲得したが、男子は銀1、銅1に終わり、ロンドン五輪に向けての課題がはっきりしてきた。

 イラン国旗を背に走り回るケルマニを、マットから降りた米満は振り返ることなく表彰台に向かっていった。昨年のアジア大会決勝で下した09年王者との決勝は0―2の完敗。雪辱を許した25歳は「金メダルが良かったけど、今回はこれくらいのレベルだったのかなと思う」と男子フリー16年ぶりの銀メダルを右手で支え、じっと見つめた。

 「完全に守られていた。それを崩すことができなかった」。腕の長さと驚異的な体の柔らかさを持つ米満の、最大の武器はタックル。相手はカウンターを狙っていた。第1ピリオドはそのタックルを上から抱えられて失点。「自分は運が悪いんで、なんとかクリンチ(抽選)は避けようと思った」ことが、強引な攻撃につながった。0―0で抽選となった第2ピリオドは相手が攻撃権を獲得し、場外に運ばれた。

 セコンドを務めた田南部力コーチは「ケルマニもタックルが得意な選手なのに、自分の持ち味を殺してまで守ってきた」と振り返る。攻め合いになれば米満の強さが上。世界が認めた選手だからこそ徹底的に研究され対策を練られた。米満自身も「負けたな、というより作戦不足だったという感じ。研究してきた相手を、もっと研究しないと」と冷静に敗因を分析した。

 7月末の合宿中に右肘を痛め、1カ月以上も本格的な練習ができなかった影響は少なくない。五輪前年の銀メダルはロンドンへの期待を抱かせる。「どういう練習がいいか、考えていきたい。今回の課題をクリアして(ロンドン五輪は)金メダルしかないですね」。過去の五輪で19選手が20個の金メダルを獲得した男子レスリングの伝統。米満には20人目になる資格がある。

 ◆米満 達弘(よねみつ・たつひろ)1986年(昭61)8月5日、山梨県生まれの25歳。韮崎工でレスリングを始め、3年時はグレコローマンで国体制覇。フリースタイルはインターハイ2位が最高。拓大4年時の世界学生で優勝し、学生2冠も達成。全日本選手権も初制覇し、翌年の世界選手権代表に選ばれた。昨年の世界選手権は23位と沈んだが、アジア大会は日本男子フリーとして16年ぶりの金メダルを獲得した。1メートル68。ブルース・リーのファン。

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2011年9月20日のニュース