琴奨菊が写経行…“無の境地”で大関獲りへ

[ 2011年6月18日 06:00 ]

深川不動堂の写経道場で写経に励む琴奨菊

 大相撲の名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)で大関昇進を狙う関脇・琴奨菊(27=佐渡ケ嶽部屋)が17日、東京都江東区の深川不動堂で“写経行”を行い、精神面を鍛え上げた。無の境地を求め、約1時間半をかけて「般若心経」を書写。精神修養を終えた27歳は、大関昇進が懸かる名古屋場所に無心で挑む。

 日常生活とは懸け離れた深い静寂の中で、琴奨菊は無心で筆を走らせた。175キロの大きな体とは対照的な小さな筆を左手に持ち、ゆっくり、そして丁寧に約1時間半をかけて「般若心経」の経典に書かれた278文字を書写。無の境地を求めての精神修養を終えた“大関候補”は「すがすがしい気持ち。無です。相撲にも生きてくる」と充実した表情で約半年ぶりの写経を振り返った。

 1年前に知人に紹介されて写経を始めたが、名古屋場所が約3週間後に迫ったこの時期にあらためて修養を行ったのは、大関昇進への強い気持ちがあるからこそ。初場所で11勝、技量審査場所で10勝を挙げ、大関昇進の目安である「三役で3場所33勝」をクリアするには名古屋場所では12勝が求められる。「自分に負けない心をつくるために写経を始めた。(名古屋場所は)一番大事な場所なので無心で挑みたい」。この日の朝稽古では春日野部屋に出稽古して栃煌山らと18番の申し合いをこなすなど体調面は順調。あとは心を鍛え直すだけだった。

 自らの願い事を書く「願意」には“大関昇進”ではなく“感謝の心”と書いた。八百長問題で角界は存続の危機に立たされただけに「相撲をできることを感謝してやっていきたい」と神妙な顔つきで話した。無心の相撲を実践した先に、琴光喜以来4年ぶりの日本人大関昇進が待っている。

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2011年6月18日のニュース