携帯&通帳を提出要求も…全容解明“いばらの道”

[ 2011年2月9日 06:00 ]

聞き取り調査を終え、報道陣に囲まれる把瑠都

 大相撲の八百長問題の解明を目指す特別調査委員会が8日、全関取70人に対する面談を開始した。この日は都内のホテルなどで大関・把瑠都(26=尾上部屋)らが担当弁護士らの聴取を受けた。今週いっぱいを調査完了のめどとしている同委員会は関取衆に携帯電話と預金通帳の持参を求めるなど“強硬手段”に打って出たが、疑惑力士14人らと同様に破損などを理由に提出を拒まれる可能性は十分。監督官庁の文部科学省からの圧力も高まる一方で、全容解明にはいばらの道が続く。

 特別調査委員会はこの日、疑惑のかけられている14人の中で幕内・翔天狼らを東京都内のホテルに呼び出し、2度目の聴取を実施。また全関取を対象にした面談調査も開始し、大関・把瑠都、幕内・嘉風、豪風、土佐豊、十両の佐田の富士、佐田の海、城ノ龍、星風らから事情を聴いた。面談を終えた把瑠都は「親方に聞いてください」とだけ話し、車に乗り込んだ。

 特別調査委は当初から、疑惑14力士同様に必要な場合には関取から携帯電話などの提出を求める可能性を示唆していた。だが前日の7日になって、14人以外の関取に対し面接の際に携帯電話と預金通帳を任意で持参するよう師匠を通じて要請したという。同委員会は「聴取の場に携帯電話や通帳があれば、より効率的に確認できるため」と説明。後日あらためて提出を求めると証拠隠滅を図る力士が出る可能性もあるため、それを防ぐ目的があったとみられる。協会側の不退転の覚悟の表れだが、関取衆は現段階でこれに応じているという。ただ、この日に面談した人数、内容は公表されなかった。

 その一方で、監督官庁の文部科学省は相撲協会以上に強硬な姿勢を打ち出した。疑惑14力士の一部が、機種変更や故障を理由に携帯電話の提出を拒んでいることに対し、高木義明文部科学相は「関係者は調査に堂々と答えて、早期の全容解明が進むことを望む」と要望。また、鈴木寛文部科学副大臣は今後の協会の運営次第では行政処分の一つである「改善命令」を出す可能性に言及。同副大臣は「協会員が執行部に協力するかどうかで、今後の道筋は大きく分かれる」と話し、改善命令を出す例として、相撲協会の調査に力士らが協力しなかった場合などを挙げた。

 監督官庁からの“圧力”が高まるなか、放駒理事長(元大関・魁傑)は「包み隠さず、きちんと聞かれたことにはきちんと正直に答えてほしい」と切実に訴えた。だが、調査に協力的な姿勢を打ち出している力士が、紛失などのやむを得ない事情で携帯電話などの提出ができないとした場合は、もはや手も足も出ない。八百長問題が徐々に迷宮入りへの道を進みつつある。

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2011年2月9日のニュース