新理事長効果?朝青龍 優等生に変身

[ 2008年9月11日 06:00 ]

境川部屋へ出向き、胸を貸した朝青龍は豊響を豪快に投げ飛ばす

 厳格な新理事長に問題横綱がびびった?大相撲の横綱・朝青龍(27=高砂部屋)は10日、東京・足立区の境川部屋に3日連続で出向き、精力的な稽古を行った。武蔵川新理事長(60=元横綱・三重ノ海)が9日、朝青龍が問題を起こした場合には即呼び出す方針を示したことで危機感ありあり。新理事長効果で、秋場所(14日初日、両国国技館)でもまじめな土俵態度が期待できそうだ。

 稽古を終えてファンの写真撮影に気軽に応じていた朝青龍から、瞬時にして笑みが消えた。最近発売された写真集にポニーテール姿などが掲載されたことに対し、武蔵川新理事長が前日「自分の時代では考えられない。横綱は力士らしい格好が一番」と切り捨てたことを聞いた時だった。顔をしかめた横綱は「まだ(理事長から)聞いていない。いいんじゃないですか」と吐き捨て、迎えの車に直行。何かにおびえるかのような姿だった。
 理事長について前日は多くを語らなかったが、この日は神経をとがらせていた。報道陣に対し「(記事では)何と書いてあるんだ?」と理事長の発言内容を逆取材する場面もあった。8日に就任した武蔵川理事長は厳しい指導で知られ、次々と問題を起こす外国出身力士にも厳格な態度で臨む方針。写真集以外に巡業での大遅刻やモンゴルへのUターン帰国と、問題に事欠かない朝青龍はまさに標的だ。元幕内・若ノ鵬の処分を決める場だった先月18日の臨時理事会でも、朝青龍の巡業での態度が悪いことについて、師匠の高砂親方(元大関・朝潮)を「ちゃんと指導しろ」と糾弾したほど。新理事長始動となった前日も「あまり毎回(モンゴルに)帰るのはどうか」「(問題を起こしたら)呼び出して注意する」と語った。北の湖前理事長時代のような、わがままは通用しない。
 境川部屋へ出稽古した朝青龍は幕内・豪栄道、豊響と10番連続で取って全勝。「自分としてはまだ(十分に)できていない状態だが、だいぶいいです」と手応えを口にしたが、同部屋への“3連投”は異例だ。2場所連続で優勝を逃し限界説もささやかれるが、“2勤1休”が定番だった男が「あと2日、部屋で稽古するよ」と珍しく意欲的な言葉を口にした。番付発表後で稽古を休んだのはまだ2日。自宅から稽古場に向かう時間も30分早めるなど、新理事長就任後は土俵態度が一変している。
 左ひじの状態は万全ではない。それでも、朝青龍は「みんなが同じ気持ちで、前向きにね。今はしゃべっている状況ではないけど、頑張ってやっていかないと」と前向きな言葉を並べた。緊張感漂う新体制の発足が、最強横綱復活の起爆剤になるかもしれない。

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2008年9月11日のニュース