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【高校サッカー】富山第一、最後まで走りきり勇気届ける 応援席には家族手作りの横断幕も

[ 2024年1月2日 15:15 ]

第102回全国高校サッカー選手権 3回戦   富山第一1―5佐賀東 ( 2024年1月2日    駒沢 )

選手の家族が急きょ作った富山第一の横断幕(撮影・村井 樹)
Photo By スポニチ

 富山のために――。強い思いで臨んだ富山第一イレブンだったが、1―5で敗れ3回戦で姿を消した。試合終了の瞬間はほとんどの選手がその場に泣き崩れたが、加納靖典監督は「被害に遭われた方たちのため、応援に来られなかった方たちのためにもと。ピッチの上に立てば理不尽なこともたくさんある。チームが一つにならないと勝てないよと送り出した。選手は最後までやってくれた」と称えた。

 試合の入りは完璧だった。前半5分にFW加藤隼也(3年)のロングスローで一気にゴール前まで攻め込むと、FW稲垣禅太郎がシュート。相手GKに阻まれたが、オウンゴールを呼び込み待望の先制点を奪った。

 しかし、その後は主将のMF多賀滉人(3年)が「引いてしまって受け身になってしまった」と悔やんだように大量5失点。最後まで攻める姿勢は見せたが、勝利には届かなかった。

 学校のある富山市も前日の地震で最大震度5を観測。本来なら保護者や部員ら約300人が駆け付ける予定だったが震災の影響で来ることができず、この日は100人ほどで声援を送った。初戦から都内で宿泊していたMF菅野暖大(3年)の姉・楓子さん(24)も寒空の下、最後まで応援。試合開始1時間前からは最寄りのコンビニのコピー機で伝統のスローガン「THIS IS TOMIICHI」と書かれた自作の横断幕を作り「今、富山を勇気付けられるのはみんなしかいないので頑張ってほしい」と願っていた。

 勝利こそ届けられなかったが、諦めずに戦う姿は地元に大きな勇気を与えたはず。多賀は「自分たちができることはこの試合に勝って勇気だったり笑顔を届けることしかないと思っていた。勝てなかったけど、最後まで絶対に諦めずに走ってやろうと思ってやれた。後悔はないです」と涙を拭い、ピッチを後にした。
(村井 樹)

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