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川島永嗣 W杯へ危機感と覚悟「繁栄か衰退か―決めるのは自分たち」

[ 2018年4月25日 12:10 ]

スポニチ本紙にW杯ロシア大会に向けての決意を語った川島
Photo By スポニチ

 W杯ロシア大会開幕まで残り50日。日本代表GK川島永嗣(35=メス)がスポニチのインタビューに応じた。本番の2カ月前に代表監督が解任されるという危機的状況の中、日本代表の守護神は3度目のW杯を前に何を思うのか――。その胸中を明かした。

 それまで柔和に話していた川島の表情が変わった。3度目のW杯。今回のロシア大会はどういう位置付けなのかと質問したときだ。

 「正直、18年は日本サッカー界にとって大きな意味を持つと思っている。それは良い意味でも悪い意味でも日本サッカーが変わるかどうか。良く変えていけるのか、衰退していくか。ターニングポイントになる、と。14年とも10年とも違う。未知のW杯になる」

 その理由とは。

 「今、たくさんの日本人が海外でプレーする時代になった。でも果たしてレベルが上がってこうなっているのか、時代の背景がこうさせてくれているのか。それは分からない。10年は海外組は数えるくらいだったでしょう。でも道を開いてくれた人がいるから僕も海外に来られた」

 10年南アフリカ大会は、海外組はMF本田ら4人だけ。16強に進出したことで世界の見る目が変わり、14年ブラジル大会では12人に膨れ上がった。川島も川崎Fからリールセ(ベルギー)へとステップアップした。だがブラジル大会は1分け2敗。そしてロシアでも惨敗すれば…。その時は世界から取り残される可能性をはらんでいる。日本サッカーの未来を担う覚悟。だからこそブラジルW杯後は、壮絶な日々を歩んだ。

 「だいぶ旅しましたね(笑い)。何かを変えないと、これ以上の自分にはなれないと感じた。でも納得できる、新しく学びたいと思えるものが、なかなか自分のところにやってこなかった。自分でもあんなふうになるとは思わなかったけど」

 15年6月から半年間、無所属の日々が続いた。絶望や焦燥、光と闇…。それは今も心に突き刺さっている。

 「正直、あのときの時間があったから…と言える日が来ると思っていた。でも、その一言で片づけられる時間じゃなかった。毎日が違う状況。例えば朝に“このチームが興味がある”と聞くと“良かった。チームがある”と思う。でも少し話していくと返答がなくなり、話が消える。また無所属という現実を突きつけられる。その連続。自分は信じたい。でも現実はそこにいる。自分を信じることも危うかった」

 乗り越えたとは思っていない。だが戦うべきは過去ではないことも分かっている。W杯2カ月前に代表監督が解任。日本サッカー界は未曽有の危機に立たされている。

 「それを変えられるのは監督じゃない。自分たちなんです。そういった意味では結果を求められる。自分たちの真価を問われる」

 危機感と覚悟。その2つを背負い、川島はロシアのゴールマウスに立つ。

 ◆川島 永嗣(かわしま・えいじ)1983年(昭58)3月20日生まれ、埼玉県出身の35歳。01年に大宮入り。名古屋、川崎Fを経て10年から欧州に活躍の場を移す。16年に加入したフランスのメスでは第3GKの扱いだったが、正守護神に成り上がった。W杯には10年南アフリカ大会と14年ブラジル大会に出場経験がある。1メートル85、82キロ。

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