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あきらめず幸運引き寄せたオナイウ 大事なのは“そこ”にいたこと

[ 2017年6月23日 11:20 ]

<天皇杯2回戦 浦和・盛岡>盛岡GK・土井がフィードを空振り。浦和・オナイウ阿道(左)がこの後ゴールを決める
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 確かにラッキーな面はあった。だが、あきらめずに走ったからこそ幸運は舞い降りた。浦和のFWオナイウ阿道(21)が天皇杯2回戦のJ3盛岡戦(21日)で移籍初ゴールを決めた。途中出場した後半35分、DF那須のフィードを相手GKがまさかの空振り。次の瞬間、ボールは走っていたオナイウの元に転がった。左足一閃(せん)。無人のゴールに吸い込まれた。

 決して美しいゴールではなかった。それでも「ラッキーでしたけど(相手DFラインの)裏を狙っていくのがチームの形。1つの結果としては良かった」とオナイウ。愚直にDFの裏を狙い続けた。FWとして大事なのは“そこ”にいたこと。格下のJ3相手に18日の磐田戦から先発を総入れ替えした一戦が公式戦2度目の出番だった。目に見える結果に胸を張った。

 あきらめない――。今季、J2千葉から浦和に移籍した21歳にはその言葉が刻み込まれている。ナイジェリア人の父と日本人の母を持つハーフ。昨年のリオ五輪ではバックアップメンバーにも選出されるなどフィジカルの強さ、潜在能力はチーム内でもトップクラスだ。だが国内随一の巨大戦力を誇る浦和では、出場機会を得るどころか、ベンチ入りすら至難の日々。練習のレベルは高く、競争は苛烈を極める。

 オナイウは言う。「ここにいる選手は他のクラブに行けば主力になれる選手ばかり。それでも試合に出られない選手がいるのに、僕みたいな選手があきらめたり、腐ったりは出来ない」。連日、最後までピッチに残る。居残り練習は日課と言っていい。「頭の整理、判断力はどんどん良くなってる。また明日の練習からアピールして、リーグ戦でも使ってもらえるようになりたい」と話した。

 6月23日現在、浦和はリーグ戦で暫定8位に低迷。4月30日の大宮戦に敗れて以後、リーグ戦は1勝1分け4敗と失速している。出場機会に恵まれなかった21歳が愚直に決めた幸運のゴールは、レッズ再浮上の起爆剤にならないだろうか。

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2017年6月23日のニュース