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関東第一下剋上 ピッチのオコエ! 途中出場1年GK北村が好守

[ 2016年12月31日 05:30 ]

第95回全国高校サッカー選手権1回戦   関東第一1―0野洲 ( 2016年12月30日    駒沢 )

<関東第一・野洲>後半、好守を見せる関東第一GK北村(手前)
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 開会式に引き続いて行われた開幕試合で、初出場の関東第一(東京B)が野洲(滋賀)を1―0で破った。後半14分にGK内野将大(3年)が負傷交代したが、ナイジェリア人の父を持つ代役GK北村海チデイ(1年)が活躍。粘り強い守備から後半21分にMF冨山大輔主将(3年)が決勝のPKを決めた。開幕試合で初出場校が優勝経験校を破るのは史上初。31日は1回戦の残り15試合が行われる。 

 選手権初勝利を告げる笛が響き渡ると、守護神の北村はこん身のガッツポーズを見せた。野洲のパスワークに苦しめられて12本のシュートを打たれたが、屈しない。途中出場し、ゴール前に立ちはだかった北村は「勝ててうれしい」と無失点に封じた喜びを語った。

 絶体絶命のピンチを救った。後半14分に正GKの内野が接触プレーで左手を開放骨折し、救急車で緊急搬送。思わぬアクシデントに見舞われた関東第一の命運は1メートル72の小兵GKに託された。「チディ」の愛称でかわいがられる1年は「正直びっくりした」と明かしたが、「いつも通り落ち着いて」「はっきり、思い切ってやれ」という先輩の声掛けで緊張は解けた。1―0の後半ロスタイムには相手ヘディングの浮き球を、驚異的な跳躍力を見せて右手でかき出した。「ケガをした内野君の思いも知っていた。自分の長所を出せた」。開幕戦の白星に貢献した背番号21は納得の表情を見せた。

 ナイジェリア人の父を持つハーフ守護神は無名の存在。中学時代の公式戦出場はゼロだったが、小野監督から「身体能力が売りだから」と口説かれて関東第一の門を叩いた。入学後は公式戦出場わずか1試合も、今大会直前に第2GKの山口が風邪をひいて出番が回ってきた。「練習でいいパフォーマンスをしていたからメンバーに入れると思っていた」。巡ってきた晴れ舞台でチャンスをモノにした。

 関東第一でナイジェリア人と日本人のハーフと言えば、昨夏の甲子園4強のオコエ瑠偉(現楽天)がいる。比較されると北村は「オコエさんよりも活躍したい」と言い切った。次戦以降もピッチに立つ可能性は高いだけに「今日以上にいいプレーをして勝利に貢献したい」。1年生GKの衝撃デビューとともに、関東第一が全国制覇へ名乗りを上げた。

 ◆北村 海チデイ(きたむら・かいちでい)2000年(平12)9月17日、神奈川県生まれ、埼玉県さいたま市育ちの16歳。地元のJリーグ浦和の活躍を見て上木崎スポーツ少年団で競技を始め、中学時代はクラブチーム「グランデFC」に所属。ドッジボールが得意だったことからポジションは一貫してGK。日本人の母は元体操選手で、50メートル6秒8。憧れの選手はマンチェスターU守護神のデヘア。将来の夢はブンデスリーガでのプレー。1メートル72、60キロ。

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