×

世紀の番狂わせ!ラニエリ監督 就任1年目でのレスター“革命”

[ 2016年5月4日 05:30 ]

優勝から一夜明け、練習場で喜びを分かち合うレスターイレブン

レスター プレミアリーグ初優勝

 レスターに優勝をもたらすチェルシーの同点弾が後半38分に決まると、ラニエリ監督は椅子から跳び上がった。母の96歳の誕生日を祝うため帰国したイタリア・ローマの自宅で試合をテレビ観戦。試合後はチェルシーのヒディンク監督に電話をかけて「ありがとう」を5度口にして感謝した。

 「就任当初は予想もできなかった。選手たちの集中力、決意、スピリットが優勝を実現させた」

 64歳の指揮官にとってもリーグ制覇は初体験。フィオレンティーナとバレンシアでカップ戦を制した以外は目立った成績がなく、決して評価は高くなかったイタリア人監督の就任が、世界を驚かせた奇跡の始まりだった。

 昨季終了後、ビチャイ・オーナーの母国タイへの親善ツアーで、ピアソン前監督の息子ら選手が乱交パーティーに興じる映像が流出。この事件で前監督は解任されたが、イレブンは「堅守速攻」を徹底して終盤戦で追い上げ、プレミア残留を達成した昨季の戦い方に誇りを持っていた。戦術やメンバーをコロコロ変えることで有名だったラニエリ監督も、選手と話し合って路線踏襲を決断。最小限の決まり事以外は柔軟な姿勢を見せたことが選手たちの共感を呼び、一体感をもたらした。

 第35節終了時のボール支配率は平均42・7%。最近10季の王者で50%を割るのは初だが、高い位置からのプレスでボールを奪い、速攻に転じるシンプルなスタイルが、地味ながらハードワークをいとわない選手ぞろいのチームにはまった。MFカンテの153タックル、142インターセプト、FWバーディーの先制弾11試合、MFマフレズの決勝点8度はリーグ最多。25試合で先制し、22勝中14勝が1点差勝ちと勝負強かった。序盤はバーディーの神懸かり的な活躍が目立ったが、リーグ最少の先発入れ替え27回が示すようにケガ人と出場停止を最少に抑え、終盤も勢いは衰えなかった。

 主将のDFモーガンは「サッカー人生最高の気分。このチームの一員でいる以上に誇れることはない」、今季22得点のバーディーは「クラブ史上最大の偉業に貢献できて光栄に思う」と喜びを語った。「毎試合戦う選手たちを見るのが大好きだった。彼らこそ王者にふさわしい」。総年俸はリーグで下から4番目、人口30万人の小さな町のクラブが起こした奇跡を、指揮官はそう総括した。

 ▽レスター・シティーFC 1884年創設。本拠地はイングランド中部のレスター(人口約34万人)。1部での過去最高成績は1928~29年の2位。2008~09年にクラブ史上初の3部降格も1年で2部復帰。11年にタイ人オーナー就任。11季ぶりにプレミアリーグに復帰した昨季は最下位から残り9試合で7勝して14位で逆転残留。主なOBは77~85年に活躍したイングランド代表FWリネカー。2部時代の10~12年にMF阿部(現浦和)がプレー。主なタイトルはイングランドリーグ杯優勝3回。ホームのキングパワー・スタジアムは3万2262人収容。クラブカラーは青。愛称はキツネを意味するフォクシーズ。

続きを表示

この記事のフォト

2016年5月4日のニュース