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退路断った!本田「精度落ちてない」W杯でのFK弾予告

[ 2014年6月6日 05:30 ]

険しい顔でヘディングする本田

 12日(日本時間13日)に開幕するW杯ブラジル大会に向け、米国で合宿している日本代表の本田圭佑(27=ACミラン)が本大会でのFK弾に自信をにじませた。4日に今合宿2度目の共同取材に応じ、強力な武器だったFKの精度が落ちていることを指摘されて反論。不調が続く中でFKへのこだわりを示し、日本を勝利に導くゴールに強い決意を示した。

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 穏やかな口調ながら、プライドが傷つけられたのは明白だった。FKに話題が及んだ時だった。報道陣から「遠藤や他の選手にFKを譲る気があるのか?」という質問を受けると、本田は真っ向からNOを突き付けた。

 「もちろんヤットさん(遠藤)が蹴った方が良い場面があるなら…。でも自分自身は大事なところでFKを決めてきた自負がある」と本田。今回のW杯でも決めてみせるという決意を示すと、さらに続けた。「確率論でいえば散々外してきているけど、それで外したからといって精度が落ちているわけではない。(質問は)今まで自分のFKを見てない人の発言としか言いようがない。大事なところで外した時に叩いてもらえれば」。自らの意地と自信を込めると同時に、自分自身を追い込むための言葉だった。

 伏線になっているのが5月27日の親善試合キプロス戦だ。前半35分に右45度で得た直接FK。打った瞬間に大きく枠を外れることが分かるミスショットは、スタジアムのため息を誘った。クラブレベルを含めて、昨年8月のウルグアイ戦から10カ月間離れているFK弾。1月のACミラン移籍後は満足な出場機会も確保できず、W杯合宿突入後も状態は決して良くない。周囲の心配が募る状況だが、本田はFKに関して好調時のイメージを思い起こしていた。

 「大事なところ」の一つは前回W杯南アフリカ大会のデンマーク戦だ。前半17分に右サイドから約27メートルの無回転FKを決めて先制点。岡田ジャパンを決勝トーナメントに導いた。CSKAモスクワでは10年3月の欧州CLセビリア戦でネットを揺らし、クラブ史上初の8強進出を支えた。大舞台であればあるほど“宝刀”の磨きは掛かった。

 有言実行でのし上がってきた。自らを「環境先行型」と称し、時にはビッグマウスと呼ばれるほど目標を高く掲げ、極限まで自身を追い込むことで潜在能力を引き出してきた。しかし、ACミラン移籍後は不調が長引いている。「感覚は日に日に良くなっている。手応えとして感じているし、さらに上がっていく」と語ったように、改善の兆しが見えていることも事実だが、ピッチの王様として君臨してきた男に求められているのは高いレベルでのパフォーマンス。目に見える結果とチームを引っ張る強烈な存在感を伴ってこそ周囲も納得する。強気に自身を追い込んでいく本田の言葉には、穏やかな口調とは裏腹に期待に応えるための悲壮な覚悟がうかがえた。

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2014年6月6日のニュース