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わずか3日で変心 柏ネルシーニョ監督辞意撤回

[ 2013年9月6日 06:00 ]

現場復帰でファンと記念撮影に応じる柏のネルシーニョ監督

ナビスコ杯準決勝第1戦 柏―横浜

(9月7日 柏)
 柏は5日、ネルシーニョ監督(63)が辞意を撤回し、同日の練習からチームの指揮を執ると発表した。8月31日の鹿島戦後に辞意を表明しながら、2日に復帰を打診。話し合いの結果、クラブ側も翻意を受け入れた。前代未聞のドタバタ劇を引き起こした指揮官は、7日にホームで行われる横浜とのナビスコ杯準決勝第1戦からベンチに戻る。

 柏を揺るがした辞意表明から5日、騒動は意外な形で結末を迎えた。ネルシーニョ監督は選手やスタッフにミーティングで謝罪し、5日ぶりに指揮した練習後に会見を開いて自らの行動に言及。勝ち点2差で追った鹿島と上位浮上を懸けた大一番で開始3分に失点するなどふがいない戦いで敗れたことに触れ「あの時は感情的に熱くなって間違った態度を取った。一度決めたことを撤回するのは簡単ではないが、過ちに気付きながら意地を通す方が愚か」と語った。

 まさかの復帰だった。鹿島戦後の会見で「私にはレイソルで最後の試合になる」と発言。慰留したチーム統括の吉田ダイレクターでさえ「覆らない感触」とし、翌1日に井原ヘッドコーチの暫定監督指名と後任選定に着手せざるを得なかった。

 ところが周囲からの慰留で頭を冷やしたという監督から2日に「もう一度やりたい」と接触があった。3日に直接意思を確認した吉田ダイレクターは気持ちを切り替えた選手の反発を覚悟した指揮官の姿に「自分の考えや発言、感情が(問題を)生んだことを理解し、反省していると捉えて復帰を決めた」と語った。

 決め手は実績だ。11年J1や12年度天皇杯優勝など結果に加え、プロ意識と勝利にこだわる「勝者のメンタリティー」を植えつけられた選手は騒動にも動揺は見せず、ミーティングで結束を確認するなど冷静に対応。吉田ダイレクターは「監督がいない中でも何かを変えることなく進むことができたのは、彼が今まで植えつけたものがあるから」と判断したという。

 もっとも今後のチーム運営は不安も残る。大谷主将は「誰が監督でもやるべきことは変わらない」と冷静ながら、騒動の余波には「1日や2日でチームが普通に動く方が不自然。選手それぞれが時間をかけて消化すればいい」と指摘した。ミーティングで「復帰のきっかけは君たち選手だった」と伝えた指揮官。信頼関係の再構築から始めるしかない。

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2013年9月6日のニュース