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根回し説得、折れたJ…リーグ期間に異例の派遣

[ 2011年4月12日 20:58 ]

 Jリーグの中西事務局長は「譲歩ではない」と何度も強調した。リーグ開催中に主力選手がいない事態も起こり得る。それでも、日本協会の強い説得に押され、難色を示していたJ1各クラブは海外組選手主体という条件付きで南米選手権への選手派遣を認めた。

 出場を再検討してから、日本協会は素早く根回しに動いた。9日、代表の主力選手がいるクラブに協会幹部が足を運び、協力を要請。この日のJ1実行委員会には小倉会長自らが出席し、「コパ(南米選手権)に何とか参加したい。協力してほしい」と訴えた。

 1997年のワールドカップ(W杯)アジア最終予選でもリーグ期間中に代表活動が並行して行われたが、世界的に見ても異例中の異例。リーグ自体の価値を落とし、サポーターやスポンサー離れなどの死活問題につながる危険性さえはらむ。選手を招集されたクラブとされないクラブに生じる不公平を解消するのも難問だ。

 日本協会は一度は辞退を決めながら、開催国アルゼンチンに促されて翻意した。そして、Jリーグも方針転換。鍵を握る選手招集は南米連盟にげたを預けた格好だ。今回の迷走は想定外の事態に、決断力を欠くサッカー界の内実を浮かび上がらせた。

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2011年4月12日のニュース