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松田2大会連続銅 金まで0秒25惜しかった

[ 2012年8月2日 06:00 ]

男子200Mバタフライで2大会連続の銅メダルを獲得し、笑顔で声援に手を挙げる松田丈志

ロンドン五輪競泳

 男子200メートルバタフライ決勝で、松田丈志(28=コスモス薬品)は1分53秒21で3位に入り、前回の北京五輪に続いて銅メダルを獲得した。優勝したチャド・レクロー(南アフリカ)、2位のマイケル・フェルプス(米国)と大接戦を演じたが、目標の金メダルに0秒25届かなかった。日本競泳陣のメダルは銅だけで5個となった。

 3人の壮絶なデッドヒートだった。松田は150メートルをフェルプスに0秒36差の2番手でターン。すぐ後方に20歳の新鋭レクローが続いた。「アップから調子が良かった。ラスト50メートルの勝負だと思った」。こん身のストロークとキックで、フェルプスに迫った。レクローもついてくる。ラスト10メートルで、ほぼ横一線に並んだ。場内は大歓声が響いた。だが、最後で抜け出したのはレクローだった。松田はトップに0秒25、2位のフェルプスに0秒20差の3位だった。

 「4年ぶりに会心のレースができたという思いと、金メダルまで0・3秒で当然悔しい気持ちもある」。思いは複雑だが、表情は晴れやかだ。1分53秒21は北京五輪で出した日本記録1分52秒97に次ぐ自己2番目のタイム。宣言していた「世界を驚かす」結果は得られなかったが、世界を十分に沸かせた。

 北京五輪後の2年間は苦悩した。現役続行を決めたものの、09年末、不況で所属先との契約を打ち切られた。年間1000万円の活動費を確保するため約600社に支援を求める手紙を送り、スーツを着て企業回りしたが、色よい返事はなかなかなかった。計画していた高地合宿は取りやめ、トレーナーの帯同もできなくなった。「五輪を目指せない。やめるタイミングなのかもしれない」と真剣に引退を考えた。

 コスモス薬品に所属が決まったのは10カ月後の10年秋だった。ロンドンへの道のりが見えてくると、新たな取り組みを次々に始めた。上下動を抑えたフラットな泳法に改造。最大88キロあった体重も81キロまで絞って、体の切れを求めた。昨秋にはロクテ(米国)がいるフロリダ大に出稽古もした。「常にもっと考えろって思っている。その部分では他の選手に負けていない」。高校時代まで情報も少ない延岡市のビニールハウスのプールで久世由美子コーチ(65)と2人で考えながら練習してきた。頭をひねり、試行錯誤を繰り返した。その成果を五輪本番で発揮し「最後にかみ合う自信はあった。充実感がある」と胸を張った。

 北京五輪の銅は「自分色のメダル」と表現した。今回は「支えてもらったみんなの銅メダル」と言った。常に謙虚でまじめな日本競泳陣の主将は感謝の思いをメダルに込めた。

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2012年8月2日のニュース