【キタサンブラックと私】辻田厩務員 黒岩に感謝「最後まで緊張感を」

[ 2017年12月21日 08:45 ]

キタサンブラックの追い切り後、状態の良さを黒岩騎手(左)から聞き、笑顔の武豊騎手(右)
Photo By 提供写真

 出走馬は一般的に水曜日に最終追い切りを行う。その後は軽めの調整にとどめてレースへと向かう。ところが、セントライト記念に出走するキタサンブラックは違った。輸送前日にCWコースで併せ馬、半マイル追いを敢行した。担当する辻田厩務員がその時のエピソードを語ってくれた。

 「あの時は馬が成長し過ぎて、なかなか仕上がらなかった感じ。カイバをやったらやっただけ身になった。体が増えて仕方なかった。気持ちも乗ってこなかったこともあって(輸送)前日に強めの調教をやって、何とか間に合いました」

 皐月賞からダービーでプラス10キロ。そこからセントライト記念でプラス12キロ、グングンと馬体は増えた。「ひと夏を越して体が変わった。線の細さがあったけど、大きくなった。食べて増えて筋肉が付いた」と話す。3歳の秋にしてグ〜ンと上昇カーブを描いた。そんな名馬を支えた辻田厩務員、付きっきりで稽古をつけた黒岩への感謝を忘れない。

 「彼はずっと乗ってくれていて、知り尽くしていますから。さじ加減というか、強弱をつけたり考えてやってくれたのが黒岩君。そのおかげもあります」

 いよいよ迫ってきたラストラン。その胸中に去来する思いはどんなものだろう。「ブラックの馬房内でのサイクルがあるので、それを邪魔しないようにするだけ。最後まで緊張感を持って、仕事しないといけないですね」。無事にレースを終えるその時まで、仕事人は気持ちをキュッと引き締めている。

 ◆辻田 義幸(つじた・よしゆき)1976年(昭51)3月7日生まれ。大阪府出身の41歳。キタサンブラックとの出合いには「忘れることのできない財産」と感慨深げ。ラストランとあって「寂しくないか?と言われるけど、いまはまだそこまでの気持ちは湧いてこないですね」と話す。

続きを表示

2017年12月21日のニュース