【有馬記念】ブラック“角のにらみ”予定5秒遅れも鞍上は泰然

[ 2017年12月21日 05:30 ]

<有馬記念>ビップレボルシオンと併せて追い切るキタサンブラック(右)
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 「第62回有馬記念」の最終追いが20日、東西トレセンで行われた。G1・6勝キタサンブラックは、予定の時計より大幅に遅れるラストデモ(CWコース)。それでも早くから秋古馬3冠を見据えた陣営は、仕上がり十分のジャッジだ。叩き上げのスーパーホースは、自然体でラストランを迎える。同レースは21日に出走馬が確定、枠順の公開抽選が行われる。なお、15頭の追い切りの動きを、有馬記念特別版として将棋の駒でランク付けした。(ランク順は王→飛→角→金→銀→と→歩)

 CWコースで2馬身前のビップレボルシオン(6歳1000万)を追走し始めたキタサンブラック。万感のラストへ向けた最終デモだったが、4角を過ぎてもピッチが一向に上がってこない。見つめる誰もが不安を募らせていく。

 結局、もたつく僚馬に合わせたまま、スピードに乗り切らずフィニッシュ。外から1馬身先着したものの、全体時計の86秒1(ラスト1F12秒4)は予定より5秒ほど遅かった。しかし、ざわつく周囲とは対照的だったのが稽古役の黒岩だ。「もう馬の雰囲気を重視でいい。時計はそこまでだけど、最後は反応もしてくれた」。13日が6F78秒6〜1F12秒2の猛時計。「先週にビシッとやって馬は仕上がっているんで。本当にいい雰囲気ですね」。

 この中間、呪縛のように付きまとったのが春の宝塚記念だ。G1・2連勝で迎え、1・4倍の1番人気に推された大一番で9着に惨敗。辻田厩務員は「レース前は急に暴れたりして落ち着きがなかった。馬がしんどいのかなと感じていた」と当時を振り返る。いかに丈夫な同馬でも、シーズン3戦のG1を戦い終える難しさを痛感した。

 今秋は北島三郎オーナーの悲願・有馬記念までを戦い抜くプランを立てた。春は天皇賞(3本)、宝塚記念(6本)で計9本の追い切りを行ったが、今回はジャパンC(2本)、有馬記念(現在4本)で計6本に軽減。同厩務員は「やっぱり宝塚記念は教訓になっている。ジャパンCは控えた感じで体つきにも余裕があった。3戦目にピークをという意識」と説明。G1・3戦目を目前にし、その成果は常に寄り添う愛馬から伝わっている。「今は凄く落ち着いていて(春とは)全く違う。昨年の有馬と比べても状態は良いです」。

 追い切り後、馬房には普段と変わらず、こちらにお尻を向けてたたずむブラックが。「これが見慣れた光景です。本当にいつも通り」。想定外の想定内。予定を外れた“ソフト追い切り”も、プランの本流からはそれていない。自然体で迎えるラストラン。雑草はもう、踏みつけなくても強い。

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2017年12月21日のニュース