【朝日杯FS】アッシュ 兄ドリジャニ、オルフェと同じ非凡な瞬発力

[ 2014年12月18日 05:30 ]

坂路を僚馬と併せ、先着したアッシュゴールド

 池添は静かに手綱を緩めた。その瞬間、抑え込まれた荒ぶる魂は解き放たれ、金色の馬体が弾むように豪快に突き抜けた。

 2歳王者に向けアッシュゴールドが坂路で最終調整。僚馬クラージュドール(4歳1600万)と併せ4F53秒5~1F13秒0。テンから行きっぷり良く13秒7、13秒8、13秒0と相手の後ろで我慢を利かせてラスト1Fでスパート。持ったままの手応えで抜け出し、1馬身半突き放してフィニッシュ。前日の雨で水分を含んだ重たい馬場で時計は平凡だが、全くブレのない走りは数字以上の迫力だ。

 池添は「下が悪い中でもしっかりと動けていたし調整は順調。以前は頼りない体付きだったが、ひと夏越して幅が出てきた。末脚はこの馬の武器。成長力のある血統なので楽しみですね」と好感触を口にした。

 全兄はG1・3勝の“小さな巨人”ドリームジャーニーと、11年3冠馬でG1・6勝を挙げた“怪物”オルフェーヴル。生まれながらにして、スターとして注目をされる宿命を背負った血筋だ。兄は2頭とも父ステイゴールドから継いだ激しい性格。気持ちを前面に押し出した走りで最後の爆発力を生んでいる。2頭の主戦を務めた池添は「うるさくて気性の荒さは似ているが、走り方は3頭とも違う」と語る。ジャーニーはピッチ走法で小柄な馬体をフルに生かして加速。オルフェは大きなストライドで豪快に突き抜けてくる。激しい気性、非凡な瞬発力はアッシュにもしっかりと継承されている。

 前走のデイリー杯2歳Sはスローの前残りの展開の中を、上がり最速3F33秒6で追い上げ2着と見せ場十分の内容。「リズム良く運べたし直線もいい脚だった。次につながる競馬はできた」と鞍上は道中でしっかりとタメをつくり、レースを教え込むようにエスコート。一戦ごとの地力強化力は明らかで、決め手なら世代トップクラスだ。「まずはここをしっかりと勝って、来年のクラシックにつなげたい」と池添。偉大な兄の背中を追い、仁川の直線で輝きを放つ。

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2014年12月18日のニュース