【京王閣・KEIRINグランプリ】武田“12年最強男”初制覇だ!

[ 2012年12月30日 06:00 ]

KEIRINグランプリに向け特大メダルを手にガッツポーズの武田

 今年の競輪日本一を決める「KEIRINグランプリ2012」は30日、東京都調布市の京王閣競輪場で行われる。1億円の一発勝負に出場するのは競輪選手2855人(29日現在)から選ばれた9選手。今年の充実ぶりでリードする、スピードスケートから転向した武田豊樹(38)が極限まで鍛え抜かれた肉体を武器に初のグランプリ制覇に挑む。

 スピードスケートから転向して10年。今年1月に38歳になった武田が競輪選手としての完成期を迎えている。

 ソルトレークシティー五輪(02年)に出場した武田は競輪選手を育成する日本競輪学校が年齢制限の撤廃など門戸を広げたこともあり「自分の力で生きていける」と競輪選手への道を志した。03年7月にプロデビュー後は強じんな体力と回転力を武器に順調に勝ち上がり、05年には初のグランプリ舞台(3着)に駒を進めた。

 だが、競輪はタイムレースではない。風向き、対戦相手の戦法、調子、そしてラインの長さなどを考慮した戦いになる。武田のスピードと脚力がどんなにライバルをリードしていても、あと一歩で勝てないレースもあるのだ。また強くなればなるほど周りの“包囲網”も厳しくなる。

 それでも武田はトレーニングに打ち込み、競輪道を勉強して成長した。“競輪G1タイトルに最も近い男”と呼ばれ続けた武田が初のビッグレースに優勝したのは09年3月だった。

 その年から今年まで4年連続のベストナイン入り。中でも今年はG1タイトル2勝を含めて勝率1位、連対率1位と圧倒的な強さを見せつけている。「人気の中で走ること。人気に応えること。緊張感はあるがそれがプロ」。ギャンブルスポーツの第一人者として勝つ喜びより責任感を常々口にするのが武田らしい。

 今年の4月から5月にかけて連続落車のアクシデントに見舞われた。全身に擦過傷を負いながらも「走る以上は大丈夫」と泣き言も言わずに出走、結果を出した。そして「生まれ故郷の北海道で開催されるG1だし勝ちたい」と語った6月の函館・高松宮記念杯と「今年中にもう一度G1を勝ちたい」と語った今月の小倉競輪祭は有言実行の優勝を飾った。

 武田は「自分なりの練習」を終えて27日に京王閣競輪場に入った。大一番を直前に控えた29日は公開練習(ファンの前でバンク練習)などで最後の調整を行った。「過去(4回)と比べると疲れがない状態で過ごせた。今年最後の一戦なので悔いのない走りをしたい。もちろん優勝を狙うけどラインも大切に頑張る」。武田は自分の力を信じてグランプリ初制覇を目指す。

 ◆武田 豊樹(たけだ・とよき)1974年(昭49)1月9日、北海道斜里町生まれの38歳。私立釧路緑ケ岡高卒。03年7月プロデビュー。通算成績は745戦291勝。通算取得賞金は8億6705万円。主なビッグ優勝は第62回日本選手権(09年)、第52回オールスター(09年)、第63回高松宮記念杯(12年)、第54回競輪祭(12年)。ソルトレークシティー五輪(02年)スピードスケート500メートル8位。1メートル77、90キロ。血液型O。

 ▽KEIRINグランプリ 競馬の有馬記念と同様に一年を締めくくる競輪界最大のレースとして85年にスタート。91年から12月30日に実施。出場9選手の選抜方法は年に6回(今年は5回)行われるG1競輪の優勝者を優先、残る枠は今年の取得賞金上位者が選出される。G1は4~6日間の勝ち上がり方式を採用しているが、グランプリは一発勝負で04年から優勝賞金は1億円。これはボートレースの賞金王決定戦と並び、個人で獲得できる公営競技の最高額。

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