【東日本復興支援競走】重野「光栄」初SG制覇!

[ 2011年8月11日 06:00 ]

優勝しファンの声援に応える重野

 またも静岡からニューヒーローの誕生だ。ボートレース戸田のSG「東日本復興支援競走」優勝戦が10日行われ、1号艇の重野哲之(32=静岡)が逃げ切って圧勝。オーシャンCの佐々木康幸に続く静岡勢によるSG連覇となった。重野は06年全日本選手権以来2回目のSG優出でSG初制覇。優勝賞金3000万円を加算し今年の賞金ランキング3位(6709万円)に浮上した。

 予選1位の重野が優勝戦でも、その強さをまざまざと見せつけた。ダッシュ3艇が0台前半のS攻勢を仕掛ける、内枠勢には厳しいスリット隊形。だが、重野もインからコンマ09の好スタートを決めて先マイ。1周BSで早々と独走態勢を築き上げると、外5艇には影を踏むことさえ許さない。「スタートは風だけを意識して全速。2Mを回った時には勝利を確信した」と振り返る完勝劇で、SG初制覇を成し遂げた。

 2回目のSG優出でつかんだタイトルは、東日本大震災の被災地を支援する目的で行われた過去に例のないSG。ボート史に名を刻んだ重野は「光栄。僕が走ることが復興につながるのなら、自分が生きている価値を感じることができる」と語る。さらに父・功児さん(57)が東北出身であることを明かし「父は山形出身だが、岩手には親族がいる。震災は人ごとではない。賞金の一部は義援金として使いたい」と続けた。

 SG制覇は父・功児さんの願いでもあった。8年ほど前に父が心臓の病気で生死をさまよった時、重野は「俺が生きている間にSGを勝ってくれ」と言われたという。「これで少しは親孝行ができたのかな」と照れ笑いを浮かべた重野だが、話題が出場ほぼ確実となった賞金王決定戦に及ぶと、顔つきが一変した。「夢だった賞金王出場が間近になってきた。でも、出場だけでは満足できない。優勝するためにも、しっかり仕事をして最高の状態で臨みたい」と今後の努力を誓った。

 昨年12月の東海地区選でG1初制覇を飾ってから、わずか8カ月でSG制覇。「地元の浜名湖でG1を勝てたのが自信になった。今は選手としてあるべき姿が分かるし、数年前より大人になったと思う」。精神面でひと回り成長し、すさまじい勢いで実績を積み上げる重野が年末まで歩みを止めることはない。

 ◆重野 哲之(しげの・さとし)1979年(昭54)3月28日生まれの32歳。静岡支部所属。98年10月22日登録の83期。同期は斉藤仁、坂口周、永井聖美、秋山直之ら。通算32V(SG1V、G12V含む)。生涯獲得賞金は3億8816万630円。1メートル71、49キロ。血液型A。

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2011年8月11日のニュース