【宝塚記念】ピンナ“折り合い”ジョーダン導く

[ 2011年6月24日 06:00 ]

トーセンジョーダンで一発を狙うピンナ騎手

 ピンナの役割は“カンフル剤”だ。イタリアの若武者をトーセンジョーダンの鞍上に起用したのはそれなりの理由がある。

 池江師は「この馬は叩き良化型」と言う。前走・阪神大賞典を右前脚の筋肉を痛めて取り消したため、実戦は1月AJC杯(1着)以来。「ずぶといタイプな上に間隔が空くとズブくなる」。熟成にはかなり時間がかかりそう。そうした状況を踏まえ、ピンナを起用したのだ。

 「この馬に合う。ズブい面を分かってもらって、その腕っぷしに期待したい」

 師が“剛腕型”と評価するピンナが9、16、22日と3度この馬の追い切りに騎乗。そのコンタクトで早くも効果が出てきた。ピンナは「休み明けは追わせると聞いているが、ズブい面はなかったよ」とスムーズさを強調する。

 しかも、ピンナ自身も日本の競馬に慣れ本領を発揮しつつある。先々週2勝、先週3勝と成績は良化の一途。「最初はポジションがうまく取れなかった。イタリアが恋しかった」と来日当初を振り返る。結果を出して当然という短期免許騎手の立場で、結果が良くなければ焦りも出る。それでも、しっかりと巻き返してきた。ここ2週の充実に笑顔がこぼれた。「僕自身、日本競馬との“折り合い”がついてきたね。うまく流れに乗れている」

 手元の新聞をのぞき込み「トーセンジョーダンは?」と聞く。そして「印がついてないな」と苦笑い。そして「この馬はペース次第の競馬ができる。速ければ中団、遅ければ先行という具合。ビッグレースでもプレッシャーはないし、チャンスをくれた池江師のためにも頑張りたい」と続けた。

 枠は外めの7枠13番になったが「包まれないのはいいね。うまくいい位置を取れれば」(川合助手)と鞍上の手腕に託す。イタリアン・パワーでトーセンジョーダンが激走するか。
 
 ◆ニコラ・ピンナ 1988年10月15日、イタリア生まれの22歳。04年にイタリアで騎手免許を取得。09、10年はイタリアリーディング3位。JRAでは87戦9勝。短期騎手免許は7月3日まで。1メートル65、53キロ。

続きを表示

この記事のフォト

2011年6月24日のニュース