「ブギウギ」障子の花模様 趣里と木野花の名場面

[ 2024年2月23日 08:15 ]

連続テレビ小説「ブギウギ」の大野晶子(木野花)と花田愛子(小野美音)とスズ子(趣里)の一場面(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】2月23日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第101回は趣里(33)と木野花(76)の共演シーンが秀逸だった。

 スズ子(趣里)が仕事場から早退して帰宅した場面。娘の愛子(小野美音)が破ってしまった障子がすっかり張り替えられ、穴があいた箇所は花模様に補修されていた。

 家政婦の大野晶子(木野花)は「女の子だもの。お花の障子は破きませんよ、きっと」と一言。その手際の鮮やかさ、愛子に手伝ってもらいながら作業をした力量、再び愛子に破らせないようにする知恵が一場面に見事に凝縮されていた。

 制作統括の福岡利武氏は「脚本の櫻井剛さんが書いた場面で、良いセリフでした。具体例があると説得力が生まれます。演出の盆子原誠くんら現場スタッフは男性ばかりですが、みんな育児にも熱心な人たちなので、アイデアを出し合っていました。木野花さんにしっかり演じて頂いたので説得力が増しました」と話す。

 大野晶子は2月22日放送の第100回に初登場。りつ子(菊地凛子)の紹介状を手にスズ子宅を訪れ「今日からこちらで家政婦として働かせて頂くことになりました」と申し出た。

 福岡氏は「スズ子の力強い味方です。スズ子はこれまで仕事と子育てを1人で頑張って来ましたが、やはり両立させていくのは非常に難しい。淡谷のり子さん(りつ子のモデルとなった歌手)は実際に笠置シヅ子さん(スズ子のモデルとなった歌手)の子育てを助けたことがあったそうですが、スズ子と大野さんの話はオリジナルストーリーです。スズ子を助けてくれる人物については、りつ子との関係の中で作ると良いのではないかと考えました。大野さんのキャラクター、りつ子との関係については次週に語られます」と説明する。

 大野を演じる木野は2006年の「純情きらり」、07年の「どんど晴れ」、13年の「あまちゃん」に続いて11年ぶり4回目の朝ドラ出演となった。

 福岡氏は「大野さんは青森県出身ということで青森県出身の木野さんに出て頂けて本当に良かったです。木野さんは深く脚本を読み込んで大野さんのあのエネルギッシュな感じをしっかり出してくれました」と話す。

 障子の花模様のシーンでスズ子は大野の説明を聞きながら目を潤ませる。大野から「これからは私がいます」と優しい言葉を掛けられると大粒の涙をこぼす。年齢差43歳の趣里と木野が生み出した名場面だ。

 福岡は「木野さんは撮影前『現場の空気を捉えてお芝居をします』とおっしゃっていました。実は、趣里さんも以前に同じようなことを言っていたんです。趣里さんにとって木野さんは大先輩ですが、お芝居のスタイルは近いものがあって、あの場面もお互いに現場の空気を感じつつ、お芝居をしていたと思います。木野さんは趣里さんとお芝居を合わせていく感じを面白がっていましたし、現場でちょっとしたアイデアをたくさん出してくれて、それもまた良かったと思います」と明かす。

 この朝ドラはスズ子がステージで派手に歌い踊るシーンが大きな見どころだが、今週のラストはスズ子が寝室で眠る愛子に向けて新曲「ヘイヘイブギー」を静かに優しく歌うシーンだった。

 福岡氏は「ブギウギはステージと同様に生活を大事にしたドラマです。スズ子の歌には自分の思いが込められていますが、その思いは生活から生まれたもので、ステージと生活は表裏一体なのです。大野さんによって、これから子育ても見どころになっていきます」と語る。

 木野花が演じる大野晶子はこの作品の重要なキーパーソンの1人だ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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