品川監督作で初主演のミュージシャンEMILY 分身のような役に「自分じゃなきゃだめだった」

[ 2021年7月23日 16:00 ]

大阪市内でスポニチの取材に応じた品川ヒロシ監督(左)と主演のEMILY
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 品川ヒロシ監督の最新作「リスタート」(公開中)で主人公を演じたフォークデュオ「HONEBONE」のボーカル、EMILY。演技初挑戦で主演に抜てきされた話題の女性がこのほど、大阪市内で品川監督とスポニチの取材に応じた。

 EMILYが演じたのは、高校卒業と同時にシンガー・ソングライターを目指し上京したが、夢にも恋にもつまずき、SNSも炎上して、破れかぶれで故郷の北海道下川町に戻る28歳だ。

 下川町と吉本興業がタッグを組んだプロジェクトで、予算はクラウドファンディングで集めた“手作り映画”。品川は脚本を書く前に同所を下見した際、女性ミュージシャンが挫折して帰郷する作品を思いついた。その後、たまたまテレビ番組で歌うEMILYを見て興味を持ち、YouTubeでリサーチ。そのかっこよさに驚き、SNSでコンタクトを取ったという。EMILYのほうは「演技経験もない自分になんでオファーが来るの?こんなおいしい話あるわけない」と半信半疑だったというが、チャンスに食らいついた。

 2019年の撮影当時、「ちょうど主人公と同じ28歳でした。台本を読んだ時に、『これ私じゃないですか』と言ったほど自分に重なった」という。それもそのはず。品川は、彼女のミュージシャンとしての姿やしゃべり方、日本人と米国人の親を持つことなどを主人公に反映させた。つまり、ほぼ“あて書き”だ。初主演とは思えぬ自然な姿を披露し、クライマックスのライブシーンも本職だけにさすがの説得力だった。

 「奇跡的に自分の所に来た役。でも今となっては、生意気に聞こえるかもしれないけど、自分じゃなきゃだめだったと思えます」。運命的な出会いと縁に感謝した。

 品川の存在をもちろん知っていたが交流はなく、「コワい方なのかなと思っていた」と告白。だが現場では「温厚で全然思ってたのと印象が違った」といい、「監督が疲れて眠そうでも、たまにイライラしても、出演者やスタッフとの信頼関係ができてるから、空気が全然悪くならない。私も信頼してました」と称賛した。同作への思い入れも強く、チケットを手売りするなど献身的に協力した。

 隣で品川は「温厚じゃないんですけどね」と苦笑いしたが、「役者さんの心をつかむ自信はあります。芸人ってのが大きいと思うけど、言いにくいことも笑いを絡めて言える」と話した。EMILYは「(主人公の継父役)中野英雄さんも『よく役者の話を聞いてくれる』と感心してた」と明かした。

 地下アイドルを演じ、ファンに殴られ、仲間に川に突き落とされ、見事な涙の演技も見せるEMILYの体を張った熱演。さらに、本作を象徴するシーンで歌い、品川監督を熱くしたHONEBONE作詞・作曲の主題歌「リスタート」。初主演とは思えぬ活躍をスクリーンで確認してほしい。
 
 ◇EMILY(エミリ) 東京都出身、生年月日は非公表。フォークデュオ「HONEBONE」のボーカル担当。日本語にこだわったリアルな歌詞が特徴で、これまでにアルバム5作、ベストアルバム1作をリリースし、キレあるMCも人気。その美貌で広告モデルなども務め、インスタグラムはフォロワー3万人を超える。映画「リスタート」で演技未経験にして初主演を飾った。

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