渡辺王将3連覇か、永瀬王座2勝目か 封じ手3分前の攻防 王将戦第5局第1日

[ 2021年3月2日 05:30 ]

スポニチ主催 第70期王将戦7番勝負第5局第1日 ( 2021年3月1日    佐賀県上峰町・大幸園 )

<第70期王将戦7番勝負第5局第1日>対局する永瀬拓矢王座(左)と渡辺明王将
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 渡辺明王将(36)=名人、棋王との3冠=に永瀬拓矢王座(28)が挑む第5局が1日、開幕した。渡辺の3連勝から永瀬が1勝して迎えた佐賀対局。戦型は角換わりへ進み、封じ手直前に永瀬が指すハプニングがあった。渡辺の3連覇か、永瀬が2勝目か。夕刻に決着の見通しだ。

 午後6時の封じ手時刻3分前、永瀬が指した。封じ手は両者の公平を期すため、翌2日目朝に開封される次の一手を用紙へ記入して立会人に預ける。封じられた側は関知できず、封じた側は持ち時間を消費する一方、封じ手を踏まえて一晩先々の展開を読み進められるメリットがある。それを永瀬は自ら放棄した。

 午後5時57分、渡辺の53手目▲6八王の局面では、永瀬に△7三桂や△7二金、△3三桂、△6二金のおおよそ4択があった。ここで封じておけば渡辺は一晩4択全ての先々の展開を読む必要性があったが、永瀬が△3三桂を指したことで▲同桂成と応じた。

 そして56手目を封じた永瀬だが、予想される封じ手は△同銀か△同金。ただ、△同金は駒が前進する一方、2二などに角を打ち込まれる隙をつくるため指しにくく映る。

 「10分前になっても“封じます”と言われなかった。まだ指されるのかなと思っていた」。渡辺に驚く様子はなく、永瀬は「封じ手をどういう概念で捉えるかの問題」と指摘した。一晩熟考できる有利さより、指し手が決まっているなら、次の手を指して残り時間を維持しようとの合理性に徹した。

 「1日目で終わったこと、ないですよね?」。あまりの展開の早さに、棋士らが集う控室にジョークとばかりには思えない会話が飛び交った午前。昼食休憩明けの45手目▲1五歩に「永瀬王座の表情が険しくなりましたよ」とは立会人の小林健二九段。「1本入ったかもしれないね」と渡辺先行をほのめかしていた。封じ手の成否を経てどう決着するのか、2日目が見逃せなくなった。(筒崎 嘉一)

 《封じ手は?》
 ▼立会人小林健二九段 成桂を取るのに4四の銀は攻め駒に使いたいところ。△3三金を選びたい。
 ▼副立会人中田功八段 ここは金ではなく銀で取るのではないか。△3三銀。
 ▼記録係福田晴紀三段 △3三銀。その方が形がいいと思う。

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