「なつぞら」福地桃子 夕見子役に葛藤も存在感!祖父も北大出身の“縁”さらなる飛躍へ朝ドラは「入り口」

[ 2019年7月13日 08:15 ]

連続テレビ小説「なつぞら」で柴田夕見子役を好演し、存在感を示している福地桃子(C)NHK
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 女優の福地桃子(21)がNHK連続テレビ小説「なつぞら」(月~土曜前8・00)にレギュラー出演。ヒロイン・奥原なつ(広瀬すず)が引き取られた柴田家の長女・夕見子を好演し、存在感を示している。歯に衣着せぬ物言いで人気キャラクターとなり“夕見子ロス”も広がるほどで、第16週「なつよ、恋の季節が来た」(7月15~20日)は突然、恋人と“駆け落ち”して上京する夕見子がメイン。自身とは共通点の少ないの役柄で葛藤があった撮影の裏側やドラマの主舞台・北海道との縁、今後の芸能活動などについて、福地に聞いた。

 広瀬がヒロインを務める節目の朝ドラ通算100作目。大河ドラマ「風林火山」や「64」「精霊の守り人」「フランケンシュタインの恋」、映画「39 刑法第三十九条」「風が強く吹いている」などで知られる脚本家の大森寿美男氏(51)が2003年後期「てるてる家族」以来となる朝ドラ2作目を手掛けるオリジナル作品。戦争で両親を亡し、北海道・十勝の酪農家に引き取られた少女・奥原なつ(広瀬)が、高校卒業後に上京してアニメーターとして瑞々しい感性を発揮していく姿を描く。

 福地演じる夕見子は酪農家の長女ながら、当時の女性としては珍しく大学進学を目指し、見事、名門・北海道大学に合格した。芯が強く、ストレートな物言いをし、なつに対する“ツンデレぶり”なども反響を呼び、人気沸騰。ドラマの舞台が十勝から東京・新宿に移り、出番が減るとインターネット上で“夕見子ロス”が叫ばれるほどだった。第53話(5月31日)、東洋動画入社が決まったなつに祝福の電話をかけるシーンに久々に登場し、短時間ながら夕見子がツイッターのトレンド入りに入った。

 6月8日には“母校”の学園祭「第61回北大祭」にトークショーのゲストとして招かれ、想定の約5倍という約1000人の観客が殺到。福地は「北大祭にうかがった時も『夕見子は今度、いつ出るんですか』というお話をしていただいたり、再登場を待っている方がたくさんいらっしゃるのは、とてもありがたいことです」と“ロス現象”に感謝した。

 反響が大きい分、「前に視聴者の方が『今の夕見子だよね?』と言ってくれていたそうなのですが、声を掛けたら夕見子に怒られるんじゃないかと、ちょっと聞きずらそうにしていたよという話を聞いて…」と苦笑い。実際に声を掛けられれば「すごくうれしいです」とウエルカムだが、それほど夕見子のキャラクターが浸透している。「自分が夕見子のキャラクターのままだと思われることが多く、朝ドラの影響力の大きさを感じております」

 福地自身は癒やし系おっとりキャラで、夕見子とは正反対。夕見子の歯に衣着せぬ物言いは一見デリカシーがないように感じ「『どうして、こういう言い方をするのだろう』と悩んだ時期がありました。今まで演じた役の中で、どうやって役に近づいたらいいか、一番悩んだかもしれません。ただ、クランクインしてから柴田家のシーンが1週間続いて、居間で食事を取るシーンをまとめ撮りしたことがあったのですが、家族の中に入ってみると、ずっと考えていた発言が不思議と馴染んでいて。皆さんが家族になろうとしている空気を感じた時、私も自然体に出る言葉に身を任せてみようと思い、気持ちも楽になり『夕見子はどうして、こういう言い方をするんだろう』と考えないようになりました」。従来は役作りの取っ掛かりとして、そのキャラクターに共感できる部分を探してきたが、今回のようなアプローチは初体験だった。

 例えば、なつ&雪次郎(山田裕貴)の送別会と夕見子の合格祝い(第43話、5月20日)。夕見子は「雨にも負けず、風にも負けず、雪次郎にも、なつの厚かましさにも負けぬ、丈夫な頭を持ちます」と抱負。「夕見子の不器用な表現も、愛情に変わる瞬間が感じられました。人に対してエネルギーを使える隠れた優しさを感じ、夕見子の魅力をもっと伝えたいと強く思いました。お芝居をする中で、役を好きになるということは、すごく大事なのかもしれないと教えられました」。そして、北大進学希望を両親に告げた時の「もっと広い世界を見たいってことよ」(第25話、4月29日)というセリフは「自分の中でも常に持ち続けたい言葉。自分の中で大切にしていきたいことと、芯の部分はそんなに遠くないような気はします」

 第16週は夕見子が突然、恋人の高山(須藤蓮)と一緒に北海道から上京。大学を辞め、高山と一緒に東京で新生活を始めるという。「また夕見子らしく引っかき回しているという印象でした。ただ、一歩引いて見ると、夕見子はいい意味でも悪い意味でも、思ったまま真っすぐ意志を貫き通して行動していると思うんです。ひねくれた気持ちや反抗心はきっとなくて、ピュアな気持ちで意思を曲げずに演じたいと考えました」と腐心した。

 2016年に本格的に女優デビュー。「なつぞら」は3回目の朝ドラオーディション挑戦となった。落選が続いてから「時間がかかっても、いつか携わりたい、1つの目標になりました。しかも北海道を舞台した作品だったというのは、縁があるなと思いました」

 母方の祖母が札幌在住。「小さい時の記憶や祖母のことを思い浮かべながら背伸びをせずにオーディションに臨んだので、自分としては悔いのないオーディションでした。朝ドラ出演が決まった時も、一番に祖母の顔が浮かびました。祖母とは今までもよく連絡を取っていたのですが、実際に撮影が始まってからは、今まで聞いたことのなかった当時の話を聞くようになって、実は祖父も北大出身だったんです。夕見子の少し先輩で。祖父は私が生まれる前に亡くなっていて一度も会ったことはないのですが、1つの目標だった朝ドラと私を結んでくれたのは、もしかしたら祖父だったのかもしれません。祖父も、きっと見てくれていると思います」と秘話を明かし、縁に感じ入った。

 昨年はTBS「あなたには帰る家がある」「チア☆ダン」と連続ドラマにレギュラー出演。今年2月公開の「あまのがわ」(監督古新舜)で映画初出演にして初主演。日本テレビのバラエティー番組「沸騰ワード10」(金曜後7・00)で、JALのステータスポイントを貯める企画「ステータス修行」で披露した素顔も話題に。朝ドラを経て、さらなる活躍が期待される。

 今後については「これほど長く同じ役を演じさせていただくことは貴重な経験だと思います。次のステップへ背中を押していただいている現場。恵まれている現場だからこそ、自分の力不足さを常に感じさせてもらえる環境なので、私にとっては入り口でしかないという気持ちで、『なつぞら』に携わらせていただいていることを無駄にしてはいけないなと日々思います」と飛躍を誓い「夕見子という役は、視野を広げることで、いろいろな角度からの考え方ができるという魅力を知るきっかけになりました。その感覚をずっと持ち続けるためにも、自分とかけ離れた役ほど興味や好奇心を持ち、幅広いお芝居をしていけるというのが、一番の理想です。緊張しいなのでバラエティーは、得意な方ではないと思いますが、いろいろな発見をさせていただけるので、もちろん機会があれば前向きに、微力ですが、力になれるように頑張ります」と未来図を描いた。

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