羽生九段 歴代最多タイ1433勝 大山15世名人に並ぶ快挙

[ 2019年5月24日 05:30 ]

将棋の第60期王位戦リーグで、歴代最多に並ぶ公式戦通算1433勝を挙げた羽生善治九段
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 将棋の羽生善治九段(48)は23日、東京都渋谷区の将棋会館で指された王位戦挑戦者決定リーグ戦で谷川浩司九段(57)を下し、大山康晴15世名人の持つ歴代最多の1433勝に並んだ。30日に竜王戦決勝トーナメント出場決定戦で木村一基九段(45)と対戦し、単独最多の1434勝を狙う。

  同一カードの歴代2位タイとなる167局目(未放映対局を除く)となった谷川戦。後手番の94手目、自王が安泰となった時点で、かつての好敵手が頭を下げた。

 1985年12月にプロ入りして以来、33年超で積み上げてきた白星は1433。「今年に入ってから目標にしていた」と偉大な大先輩に並んだ数字をかみしめる一方で「大山先生の記録はたくさんある。一つでも多く挑んでいきたい」と口元を引き締めた。
 区切りの1400勝を挙げたのは昨年4月の名人戦7番勝負開幕戦。当時は竜王、棋聖の2冠を手にしていたが、この1年間でタイトル全てを失った。平成の30年間でほぼ無敵とも言うべき絶対的存在だった第一人者が無冠となり、時代は令和に。

 藤井聡太七段(16)の台頭はもちろん、29歳の豊島将之が初の名人位を獲得したのをはじめ3冠に上り詰めている。2回り以上も下の世代からの「突き上げ」に、さしもの羽生は人知れずフェードアウトしてしまうのか。いや、決してそうではなかった。

 「(タイトルを失ったのは)自分自身の実力がなかったから。令和時代になってどこまで頑張れるかという気持ちです」と苦笑いしながらも「最近の方が将棋は奥深いと感じる。そういう意味ではモチベーションになっています」と屈託なくほほ笑む。その眼光の鋭さは健在だ。

 当然ながら、ここで「上がり」ではない。30日の木村戦に勝てば前人未到の1434勝目となる。「自分なりにコンディションを整えて、気負わず、自然体で臨みたい」。棋界のアンタッチャブル・レコードを次々に更新してきた羽生が新たな金字塔を打ち立てる日も刻々と近づいている。

 ▼羽生 善治(はぶ・よしはる)1970年(昭45)9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身の48歳。故二上達也九段門下。家族は理恵夫人と2女。好きな言葉は「運命は勇者にほほえむ」。

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